故マラドーナ氏の裁判、判事の不祥事で無効に アルゼンチン

マラドーナ氏は2020年11月25日、心臓発作により60歳で亡くなった。
2020年11月26日/アルゼンチン、首都ブエノスアイレスの大統領官邸近く、マラドーナ氏の合同葬儀に出席した会葬者たち(AP通信/Rodrigo Abd)

サッカー界のレジェンドであるアルゼンチンの故ディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)氏の死をめぐる裁判の審理が無効となった。医療チーム側の弁護士が29日、明らかにした。

マラドーナ氏は2020年11月25日、心臓発作により60歳で亡くなった。

マラドーナ氏の遺族は数日後、警察に捜査を依頼。医師や看護師を含む8人がマラドーナ氏に適切な手術および治療を提供しなかったと刑事告発、うち7人が過失致死罪で起訴された。

遺族はマラドーナ氏が20年11月初めに脳血栓の手術を受けた際、脳内出血を起こした可能性があると主張。その後の医療サポートにも問題があったと説明している。

医療チーム側はマラドーナ氏の手術や治療に問題があったという遺族の主張を否定。全面的に争ってきた。

こうした中、担当裁判官3人のうち1人が倫理違反の疑いを理由に審理から外れたことを受け、審理が無効となった。

審理は今年3月に開始され、マラドーナ氏の家族や友人、ジャーナリストらが証言を行っていた。

しかし、担当裁判官のうち1人が裁判所の廊下や自身のオフィスでドキュメンタリー番組の取材を受けているとみられる動画が流出。事件を担当する裁判官が取材を受けることは禁止されており、この裁判官は27日に審理から外れた。

原告の弁護士は29日、ブエノスアイレス地裁前まで記者団に対し、「裁判が取り消しになったと報告を受けた」と語った。

また弁護士は「5年間の努力が無駄になったことに憤慨している」と述べ、裁判官を批判した。

新たな裁判の日程は公表されておらず、裁判官も指名されていない。

原告側と検察は新たな裁判官3人を選出するよう要求。被告側は残った裁判官2人で審理を続けるよう求めている。

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