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帰国を躊躇するベネズエラ移民、マドゥロ拘束で期待と不安が交錯

800万近いベネズエラ出身者が中南米や米国に暮らしているなか、各国政府は帰国を促す声を上げているものの、多くが故郷へ戻ることを躊躇しているようだ。
2026年1月6日/ベネズエラ、首都カラカス、マドゥロ大統領の逮捕を祝う人々(AP通信)

米軍がベネズエラのマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領を拘束したことを受け、ラテンアメリカ各地に散らばるベネズエラ移民・難民の間で期待と不安が交錯している。800万近いベネズエラ出身者が中南米や米国に暮らしているなか、各国政府は帰国を促す声を上げているものの、多くが故郷へ戻ることを躊躇しているようだ。

ペルー・リマで働く22歳の女性はマドゥロ拘束の知らせを受け、Tシャツの印刷で忙しくしていた。拘束されたマドゥロの顔と “Game Over(ゲームオーバー)” と描いたデザインは市場で人気となり、ニュース直後に売れ行きが急増したという。しかし彼女は、ベネズエラが変わるには時間がかかるとの認識から、帰国については慎重な姿勢を示している。

トランプ(Donald Trump)米大統領がマドゥロ政権の副大統領であり、暫定大統領となったロドリゲス(Delcy Eloína Rodríguez Gómez)氏と協力すると述べたこともあり、移民の間では期待と懸念が入り混じっている。トランプ政権やペルー、チリの指導者らはベネズエラへの帰国を促しているが、ベネズエラの経済状況は依然として深刻で、治安機関の多くはマドゥロ夫妻の排除後も機能を維持している。

中南米に散らばるベネズエラ人約800万人の最大の受け入れ国は隣国コロンビアで約280万人、次いでペルー約150万人となっている。さらに約100万人が米国に滞在していると推計される。彼らの多くは政治的混乱や経済危機から逃れてきたもので、ベネズエラ国内では人口の約8割が貧困状態にあるとされる。

移住者の境遇はさまざまだ。一部は受け入れ国で仕事を見つけ、小規模なビジネスを始めているが、法的地位が不安定な人も少なくない。米国などでは保護ステータスの期限が迫る者もおり、強制送還や第三国への移送の対象となる可能性があることから、移民の将来には不透明感も強い。

メキシコ北部の避難所にいる36歳の男性は2017年の飢餓危機の際にベネズエラを離れ、コロンビアやペルー、チリと渡り歩いた後に米国境に到達したが入国を拒否され、現在は再びメキシコでの滞在を模索している。彼は故郷が「安定すれば戻りたい」と語る一方で、家族の安全や食料事情への不安を口にする。

チリの首都サンティアゴでは「リトル・カラカス」と呼ばれる地域で歓喜が見られたが、祝祭ムードは次第に落ち着きを見せている。66歳の男性は自家製アイスクリームを売りながら「いつか戻れる日が来るかもしれない」と話しつつも、「今年ではないだろう」と現実的な見通しを示す。

一方で、法的地位の不安定さや移民受け入れ政策の変化をめぐる各国の対応は、今後のベネズエラ人コミュニティに大きな影響を及ぼす可能性があるとして、支援団体は引き続き注視する必要があると指摘している。

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