アルゼンチン大統領「暗号通貨」スキャンダル、150億円が行方不明に
▽ミレイ氏は14日遅く、$LIBRAへの投資を推奨する声明をX(旧ツイッター)に投稿をした。
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アルゼンチンのミレイ(Javier Milei)大統領が関与したとされる怪しげな暗号通貨「$LIBRA」に集まった約9900万ドル(約150億円)が引き出されたとみられる。暗号資産取引追跡ツール「チェイナリシス(Chainalysis)」が19日、明らかにした。
ミレイ氏は14日遅く、$LIBRAへの投資を推奨する声明をX(旧ツイッター)に投稿をした。
この直後、$LIBRAの価格は1枚あたり5ドル近くまで急騰した。
しかし、数時間後には1ドル以下に急落。多くの投資家が損失を被った。
ミレイ氏は投稿の中で、「このコインは中小企業や新興企業に資金を提供することで経済成長を促すことを目的としている」と述べた。
しかし、ミレイ氏は数時間後にその投稿を削除。$LIBRAの価値は暴落し、投資家に40億ドル以上の損失をもたらしたとされる。
ミレイ氏はその後、ソーシャルメディア上でこの暗号通貨を宣伝し、多くの投資家に不利益を被らせたとして刑事告発され、連邦裁判所が調査を開始した。
ミレイ氏は$LIBRAへの関与を否定。野党がこの状況を利用しようとしていると主張している。
$LIBRAは「vivalalibertadproject.com」というウェブサイトにアクセスすることで入手できる。
しかし、専門家は暗号通貨の開発者が著名人の発言を利用して価値を吊り上げ、集まった資金を持ち逃げする「ラグプル」の可能性があると指摘している。
ラグプルは開発者がNFT(非代替性トークン)プロジェクトを立ち上げ、投資を募って資金を集めた後、突然プロジェクトを放棄し、資金を持ち逃げする詐欺である。
チェイナリシスによると、その作成者とつながりのある個人は集まった9900万ドルを8つの暗号ウォレットに変換し、引き出したとみられる。
チェイナリシスの担当者はロイター通信の取材に対し、「ウォレットを引き出した個人の身元を確認することはできなかったが、$LIBRAの作成者が関与しているとみられる」と語った。
また担当者は「引き出した者は$LIBRAの作成者から直接資金提供を受けていることから、密接な関係にあることが示唆される」と述べたが、資金が引き出された日付は明らかにしなかった。
このような詐欺は珍しくなく、新たな暗号通貨を名乗る怪しげなサイトは世界に数多く存在する。