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アルゼンチン首都でミレイ政権に抗議するデモ激化、改正労働法案めぐり

抗議はミレイ氏が推進する包括的な労働規制緩和策に反対するものであり、労働権をめぐる論争が一段と激しくなっている。
2026年2月11日/アルゼンチン、首都ブエノスアイレス、ミレイ政権に抗議するデモ隊の攻撃に備える機動隊(AP通信)

アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで11日、議会上院がミレイ(Javier Milei)大統領の改正労働法案を審議する中、労働組合が動員した数千人の組合員が議会前に集結し、大規模な抗議デモを展開した。デモ隊は主要道路を封鎖し、一部が機動隊と衝突するなど、混乱が拡大した。抗議はミレイ氏が推進する包括的な労働規制緩和策に反対するものであり、労働権をめぐる論争が一段と激しくなっている。

ミレイ政権は長年にわたり硬直的とされてきたアルゼンチンの労働法を抜本的に見直し、企業の雇用や投資の柔軟性を高めることを目指している。改革案の柱はストライキ権の制限、新規雇用者に対する試用期間の延長、従業員の解雇手続きの簡略化、労働組合連合の交渉力の抑制、退職手当の削減などである。政権側はこれらの措置が外国投資を呼び込み、非公式雇用の改善につながると主張している。

一方、労組側は改革案に強く反発している。抗議デモを主導した最大労組である一般労働総同盟(CGT)はX(旧ツイッター)への投稿で、「これは労働者への緊縮政策であり、近代化とは言えない」と主張。法案が不当解雇から労働者を守る既存の権利を後退させると非難した。労組は労働者保護の後退が頻発する経済的ショックに対する脆弱性を高めると警戒している。

抗議現場では、一部のデモ参加者が火炎瓶や石、ペットボトルを投げつけるなどして治安部隊と衝突。治安部隊は放水砲やゴム弾を使用して制圧を試みた。内務省は声明で、警察官への攻撃を理由に複数の逮捕者が出たことを明らかにした。こうした混乱は法案が持つ政治的敏感性を強く象徴している。

ミレイ氏はリバタリアンを自認し、徹底した自由市場改革を政策の中心に据えてきた。今回の労働法改正はその象徴的な取り組みで、インフレ抑制や歳出削減などの経済政策と並び、同国経済の抜本的な再構築を目指す構想の一環である。政府は上院での審議を通じて多数の修正を盛り込みつつ支持を固めようとしているが、労組や野党の抵抗は強く、採決にはかなりの時間がかかる見通しだ。

上院が法案を可決した場合、下院での審議が来月予定されている。経済界は労働法の緩和が経済成長に寄与するとの見解を示しているが、労働者保護の後退を懸念する声も根強い。専門家の間では同法案が成立すれば、数十年にわたる労働保護の歴史的な転換点となる可能性があるとの指摘もある。

労働者や組合は改革案の撤回を求める姿勢を強め、全国的な抗議活動や追加のストライキの可能性も指摘されている。アルゼンチン経済は依然として厳しい状況にあり、労働市場の改革が社会的な摩擦をどのように解決するかは今後の焦点となる。

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