◎首都カラカスを含む都市部ではマドゥロ氏に抗議するデモが続いている。
ベネズエラ大統領選に立候補したゴンザレス候補(右)とマチャド元議員(Getty Images)

ベネズエラの独裁者マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領に対する圧力が高まっている。

ブラジルとメキシコ政府は28日に行われた大統領選の集計結果を公表するようマドゥロ氏に要請している。

AP通信は1日、ブラジル政府高官の話しとして、「メキシコ、コロンビア、ブラジル政府は現在、28日に行われた大統領選の集計結果を公表し、公正な検証を行うようマドゥロ政権に求めており、関係当局と連絡を取り合っている」と報じた。

それによると、この政府高官はベネズエラに対し、「データを公表することが結果に対する疑念を払拭する唯一の方法である」と伝えたという。

マドゥロ氏の支配下に置かれる選挙管理委員会は大統領選の集計結果を公表せず、現職のマドゥロ氏が得票率51%で勝利したと発表。欧米と一部の中南米諸国から非難を浴びている。

マドゥロ氏は7月31日、最高裁判所に対し、週末に行われた大統領選の監査を行うよう要請。「我々は選挙の集計表を全て示す用意がある」と主張した。

APによると、メキシコ政府当局者も3カ国がベネズエラとこの問題について協議していることを認めたが、詳細は明らかにしなかったという。

メキシコのオブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領は定例記者会見で、「ブラジルおよびコロンビアの首脳とこの問題について協議する予定であり、透明性のある結果を公表することが重要であると考えている」と述べていた。

選管がマドゥロ氏の勝利を宣言すると、首都カラカスを含む都市部でこれに抗議するデモが始まった。

現地メディアによると、治安部隊の取り締まりにより少なくとも11人が死亡、数百人が逮捕されたとみられる。

29日には野党議員を含む数十人が逮捕されたと伝えられているが、警察は詳細を明らかにしていない。

全野党の指導者であるマチャド(María Corina Machado)元議員とゴンザレス(Edmundo González)候補は30日、カラカスの大規模集会で演説したものの、それ以来、公の場に姿を見せていない。

一部の与党議員はマチャド氏をファシストと呼び、逮捕するよう求めている。

マチャド氏の陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の3分の2以上を確保したと報告。それによると、ゴンザレス氏の投票数は620万票であるのに対し、マドゥロ氏は270万票にとどまっているという。

選管はゴンザレス氏の得票率を44%と報告していた。

ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。

現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、推定770万人が国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。

米政府は昨年10月、マドゥロ政権が野党連合と選挙協定を結んだ見返りとして、経済制裁を一部緩和したものの、マチャド氏が選挙に立候補できなかったことなどを受け、今年3月にこれを取り消した。

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