◎ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
EUのボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表は24日、南米ベネズエラのマドゥロ政権に対し、先月末に行った大統領選の公的な証拠を公表するよう求めた。
ボレル氏は声明で、「政府は完全で独立した検証が可能な結果のみが受け入れられ、承認されると認識すべきだ」と非難した。
またボレル氏は「選挙の信頼性を回復するためには、透明性のある詳細かつ検証可能なデータを公表するしかない」と強調した。
独裁者のマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領の支配下に置かれる選挙管理委員会は7月28日に行われた大統領選の集計結果を公表せず、現職のマドゥロ氏が得票率51%で勝利したと発表。
しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保したと報告。それによると、ゴンザレス氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけていたという。
米国を含む数カ国が選挙の勝者を全野党の統一候補であるゴンザレス(Edmundo González)氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけている。
EUも米国や他の南米諸国と共に、ベネズエラ最高裁の結果認定を拒否した。最高裁は先週、マドゥロ氏の勝利を認定した。
ブラジルのルラ(Luiz Inacio Lula da Silva)大統領とコロンビアのペトロ(Gustavo Petro)大統領は24日の共同声明で「集計結果の公表を待っている」と述べたが、最高裁の認定を拒否するまでには至らなかった。
両首脳はマドゥロ氏と良好な関係を維持している。
マドゥロ政権は24日、ボレル氏の発言を「内政干渉」と非難・拒絶した。
同政府は声明で、「EU外相の発言はベネズエラの主権を軽視するものであり、外交、政治、経済関係にかなりの影響を与える可能性がある」と警告した。
一方、ルラ氏とペトロ氏は「司法の決定を尊重する」と述べたものの、集計結果の公表を待っていると付け加えた。
また両首脳は結果に抗議するデモで2000人以上が逮捕されたことを受け、マドゥロ政権に対し、暴力行為や弾圧で訴えられるような事態を避けるよう促した。
マドゥロ氏は敗北を認めず、ゴンザレス氏と全野党の指導者であるマチャド(María Corina Machado)元議員が偽情報を拡散し、暴力と不安を煽っていると主張。証言を拒否すれば逮捕すると脅している。
治安当局の取り締まりで逮捕されたデモ参加者は2000人以上。少なくとも24人がこの取り締まり中に死亡したとされる。警察は逮捕者と死傷者の数を公表していない。
ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、800万人近くが国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。