◎マドゥロ大統領の支配下に置かれる選挙管理委員会は7月28日に行われた大統領選の集計結果を公表せず、マドゥロ氏が得票率51%で勝利したと宣言した。
ベネズエラのマドゥロ大統領(Getty Images)

米国の財団カーター・センターは2日、今年7月に行われたベネズエラ大統領選で独裁者のマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領が敗れたことを示す証拠を支持し、米州機構に対し、マドゥロ政権に圧力をかけ続けるよう促した。

カーター・センターの調査チームは米州機構の会合で、「野党陣営が提出した電子投票機の集計表に不正はみられず、それはマドゥロ氏が敗れたことを示している」と述べた。

マドゥロ氏の支配下に置かれる選挙管理委員会は7月28日に行われた大統領選の集計結果を公表せず、マドゥロ氏が得票率51%で勝利したと宣言した。

しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保したと報告。それによると、全野党の統一候補ゴンザレス(Edmundo González)氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけていたという。

米国を含む数カ国が選挙の勝者をゴンザレス氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけてきた。

しかし、最高裁判所は8月末、マドゥロ氏の勝利を認定。さらに首都カラカスの地方裁判所は先月、ゴンザレス氏が選挙結果を捏造し、暴動を煽ったなどとして逮捕状を発行した。

この結果、ゴンザレス氏はスペインへの亡命を余儀なくされた。

野党陣営が確保した数万枚の集計表がこの混乱の争点となっている。選挙で使用された約3万台の電子投票機はそれぞれ数枚の集計表を印刷し、どの候補に何票投票されたか確認することができる。

選管はそれを集計し、選挙に参加したすべての政党がそれを入手する権利がある。

マドゥロ氏が大好きな選管はそれを公表せず、「ウェブサイトがハッキングされ、情報を公表できなかった」と主張している。

しかし、野党は80%以上の投票機から集計表を入手し、オンラインで公開した。政府はこれを偽物と呼び、ゴンサレス氏を含む野党メンバーへの調査を開始した。

カーター・センターの調査員は会合で外交官たちに集計表の写しを見せる前にこう言った。「ゴンザレス氏が勝者であるとみられるが、米州機構が勝者を宣言するのではなく、ベネズエラ当局にそれを認めさせることが重要である...」

ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。

現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、800万人近くが国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。

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