ブラジル議会下院、ルラ大統領の金融取引税引き上げ案を拒否

ルラ政権は財政規則遵守のため、支出の規模を制限しつつ、税収を増加させる手段としてIOF引き上げを選択していた。
ブラジル、首都ブラジリアの国会、ルラ大統領(Bloomberg)

ブラジルの連邦議会下院は25日、ルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領が5月に発令した、特定の信用取引、為替取引、民間年金計画に関する金融取引税(IOF)の引き上げを定めた大統領令を覆した。

上院がこれを支持した場合、この大統領令は無効となる。

ルラ政権は財政規則遵守のため、支出の規模を制限しつつ、税収を増加させる手段としてIOF引き上げを選択していた。

政府は先月、財政目標を達成するため、IOFを引き上げたが、市場の反発を招き、撤回する可能性を示唆していた。

これは政府と議会の対立を浮き彫りにしている。

下院は賛成多数で大統領令を拒否。ルラ氏の経済政策の多くが今年、議会で停滞している。

ルラ氏は昨年、金融機関の純利益に対する社会貢献税(CSLL)を引き上げようとした。

しかし、議会はこの法案を採決せず、政府は最終的に、この措置から今年得られたであろう約150億レアル(約3910億円)の税収を失った。

ルラ氏の支持率はインフレに足を引っ張られ急落している。

この税制改正案は5月下旬に大統領令で初めて発表され、26年までに企業融資や外貨カード決済を含む多様な取引への課税強化により、615億レアル(約1兆6000億円)の税収増を見込んでいた。

この提案は市場の反発を招き、政府は数時間以内に、海外投資の一部に対する税引き上げを撤回。市場はこれを事実上の資本規制と批判した。

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