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コロンビア南西部のプラセ火山の活動活発化、先住民の生活続く

ココヌコ族が暮らすプラセ先住民保留地では最近地震活動が活発化し、火口から最大約900メートルの火山灰が噴き上がるなどの噴火が観測されていることから、当局は数日から数週間以内に大規模が噴火の可能性を警告している。
2025年12月13日/コロンビア、カウカ州のプラセ国立公園近く(AP通信)

コロンビア南西部の活火山プラセ周辺に住む先住民たちは噴火の兆候が高まっているにもかかわらず日常生活を続けている。ココヌコ族が暮らすプラセ先住民保留地では最近地震活動が活発化し、火口から最大約900メートルの火山灰が噴き上がるなどの噴火が観測されていることから、当局は数日から数週間以内に大規模が噴火の可能性を警告している。こうした状況を受け、周辺地域に住む約800人を対象に予防的な避難準備が進められているが、住民の多くは不安を抱きつつも土地を離れる意向を示していない。

65歳の男性は火山から1マイル(約1.6キロ)にも満たない自身の土地で牛の世話を行っている。彼は噴火警報にも関わらず牛を見守るために頻繁にこの場所へ向かい、「火山で育った自分に恐怖心はない。警報が出ていようがいまいが関係ない。動物の世話をする必要がある」と述べ、日常を変えるつもりはないとAP通信に語った。

プラセ火山は標高約4640メートル、1400年以降50回以上噴火し、直近の大規模噴火は1977年に記録された。ココヌコ族にとってこの火山は聖地であり守護霊のような存在とされ、恐れる対象ではないという信仰が根強い。酋長はAPの取材に対し、「火山は我々の主であり、恐れる理由はない。だからこそ敬意を表し、儀式を執り行うのだ」と語った。

住民は火口周辺にトウモロコシや果実を植え、地元で作られる果実酒グアラポを捧げるなどの伝統的な儀式を行う。ココヌコ族によると、火山が灰を噴き上げるのは自然をもっと大切にしろというメッセージでもあるという。

保留地の酋長や長老たちは火山活動を初めて目にする若い世代を安心させようとしている。酋長の1人は幼少期に火山が噴火し小石が飛んできたのを覚えており、その際は木陰や茅葺き屋根の家の中で避難したと振り返る。自身の家も危険区域にあるが、「有毒ガスが出ない限り避難は考えない」と話す。

プラセ地域には避難を支えるインフラや物流が整っていないため、自治体は一時避難所の設置を進める一方、水タンクや食料、家畜や家禽を守るための対策が必要だと指摘されている。家畜や農業は住民の生活基盤であり、これらを放棄するわけにはいかないという声も根強い。「ここで死ぬならそれまでのこと。しかし、飢え死にするためにどこかへ行くわけにはいかない」といった住民の言葉が、土地への強い結びつきを物語っている。

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