ブラジル石油労組、ペトロブラスのストライキ終結提案を拒否
労組側はペトロブラスが示した妥結案に対して組合員投票を実施した結果、提案内容が十分ではないとして採決で否決されたという。
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12月26日、ブラジルの国営ブラジル石油公社(ペトロブラス)を巡る労働争議で、労働組合シンジペトロNF(Sindipetro-NF)が、同社が提示したストライキ終結案を拒否し、ストを継続する方針を表明した。これにより12日間続くストは一部地域で終結の見通しが立たない状況となっている。
同労組はおよそ2万5000人の労働者を代表しており、特に東部の主要油田の石油プラットフォームで働く従業員が多い。労組側はペトロブラスが示した妥結案に対して組合員投票を実施した結果、提案内容が十分ではないとして採決で否決されたという。
ペトロブラス側は声明で、これまでのストが生産に重大な影響を与えていないと述べている。同社は緊急対応チームを稼働させることで操業を維持し、原油生産や供給網に大きな混乱が生じないよう努力していると説明した。
今回の争議は労働条件や賃金に加えて、年金制度に関する複雑な問題を抱えている点が特徴だ。中心となっているのは、ペトロブラスの年金基金の管理方法や、年金受給者への支給額からの控除問題である。労組側はこの件について、長期にわたり交渉を続けてきたが、決着がつかないままストに発展した。問題の一つとして、受給者の支払額から約20%が控除されている現状があり、これが労使間の大きな争点となっている。
ペトロブラスの労働組合連合体であるFUP(連邦石油労組連盟)は当初、会社の最新提案を受け入れる方針を示していた。FUP理事会は妥結案に同意したが、最終的な労働者投票の結果、シンジペトロNFだけが反対に回ったため、他の13組合がスト終結を決めても一部でのスト継続が確定した形だ。
また、ペトロブラス労働者の別の組合連合であるFNPも独自にスト継続を決定しており、FNP傘下の組合員にもストを続けるよう助言している。こうした動きは交渉が長期化する可能性を示唆している。
ブラジル経済にとってペトロブラスは極めて重要な存在であり、国内の石油生産や輸出、雇用に大きな影響を与えている。ストが長引けば、操業効率や投資計画、国際市場での競争力にも影響が出るとの懸念がある。特に年金問題は国内で政治的にも敏感なテーマとなっており、来年の大統領選挙や労働政策にも波及効果を与える可能性がある。
ペトロブラスと労組は今後も協議を継続する意向を示しているものの、具体的な解決策やスト終結の見通しは立っていない。労働者側はさらなる交渉を求めつつ、要求が受け入れられない限りストを続ける姿勢を崩していない。
