収監中のブラジル前大統領がヘルニア手術、経過良好
鼠径ヘルニアは腹部の筋肉の裂け目から腸などが突出する症状で、痛みや不快感を伴うことが多い。
と支持者たち(AP通信).jpg)
ブラジルのボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領は12月25日、首都ブラジリアの病院で鼠径(そけい)ヘルニアの手術を受けた。家族によると、手術は3時間半から4時間にわたり、合併症なく無事終了したという。ボルソナロ氏は術後も病院で経過観察を受けている。
ボルソナロ氏はクーデター未遂の罪で禁固27年の刑を受けて連邦警察本部の施設に服役していたが、ヘルニアによる痛みが強いとの警察医の診断を受け、最高裁判所のジモラエス(Alexandre de Moraes)判事の許可により一時的に収監先を離れて治療を受けた。最高裁は同時に、術後の自宅軟禁申請は却下している。
ボルソナロ氏は2022年の大統領選でルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領に敗れた後、選挙結果の覆しや国家転覆を図ったとして訴追され、武装組織の指導や民主的統治の暴力的廃止の試みなど複数の罪で有罪判決を受けた。ボルソナロ氏はこれらの罪を一貫して否定、政治的迫害であると主張している。
鼠径ヘルニアは腹部の筋肉の裂け目から腸などが突出する症状で、痛みや不快感を伴うことが多い。医師団は手術を「複雑だが標準的な手術」と説明しており、大きな合併症は予想していないと述べていた。術後は医療スタッフが回復状況を観察し、必要に応じて他の治療方針を検討する。
ボルソナロ氏は2018年の選挙運動中に腹部を刺されて以来、複数回手術を受けてきた。複数の持病や過去の手術歴が今回のヘルニアの痛みや治療方針に影響を与えた可能性が指摘されている。
病院滞在中、ボルソナロ氏には弁護士や医療関係者への自由な面会が認められている一方、一般面会者(家族除く)には最高裁の承認が必要である。
手術当日、長男のフラヴィオ・ボルソナロ(Flávio Bolsonaro)上院議員が記者会見を行い、父親が2026年大統領選で自らの支持を確認する手紙を書いていたことを明らかにした。同氏は自由党(PL)から出馬し、ルラ氏に挑戦する意向を示している。手紙には、「国民の期待に応え、正義と責任をもってブラジルを率いてほしい」との意向が記されている。
ボルソナロ氏は拘禁中も政治的影響力を保とうとしており、支持基盤の維持や息子の後継候補としての立場強化を図っているとみられている。今回の手術と政治的動きは、ブラジル国内での政治対立や来年の選挙情勢にも影響を与える可能性がある。
