◎選管は今のところ、欧米と中南米諸国が求める集計結果を公表していない。
ベネズエラで先週末に行われた大統領選の結果に抗議するデモが激化する中、欧米諸国が4日、深刻な懸念を表明した。
バチカンのフランシスコ(Pope Francis)教皇はベネズエラが危機的状況にあると嘆き、「すべての関係者に真実を明らかにするよう求め、あらゆる種類の暴力を避けるよう訴える」と表明した。
米政府も独裁者のマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領に透明性のある集計結果を示すよう改めて強く要請。フランスやドイツを含むEUの首脳がこれに続いた。
EUの首脳らは4日付けの共同声明で、「7月28日の大統領選の結果が公表されるまで、政府高官を含む全てのベネズエラ人は声を上げる権利を尊重すべきであり、逮捕、脅迫、弾圧を強く非難する」と述べた。
マドゥロ氏は3日、カラカス市内の選挙集会で、治安当局がこれまでに約2000人の反体制派を逮捕したと明らかにした。
またマドゥロ氏はこのデモに関与した者をひとり残らず捕らえ、刑務所に送ると誓った。
EUの声明から数時間後、マドゥロ氏はSNSに声明を投稿。全野党の統一候補であるゴンザレス(Edmundo González)氏を再び逮捕すると脅した。
マドゥロ氏の支配下に置かれる選挙管理委員会は大統領選の集計結果を公表せず、現職のマドゥロ氏が得票率51%で勝利したと発表している。
しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保したと報告。それによると、ゴンザレス氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけているという。
現地で選挙当日取材に当たった欧米のメディアも出口調査に応じたほとんどの有権者がゴンザレス氏に投票したと報じている。
マドゥロ氏はゴンサレス氏に対して、「憲法、裁判所、法律に従わなければ、重大な結果に直面することになる」と脅した。
またマドゥロ氏は反体制派を「ファシスト」と呼び、強硬手段を取り続けると宣言。すでに約2000人が逮捕されたと述べた。「恩赦はない。逮捕された者は全員、刑務所送りだ...」
選管は今のところ、欧米と中南米諸国が求める集計結果を公表していない。
全野党の指導者であるマチャド(María Corina Machado)元議員は3日、約1週間ぶりに公の場に姿を現したものの、選挙集会終了後、姿を消した。
ゴンザレス氏も7月30日以来、公の場に姿を見せていない。
米政府は2日、ゴンザレス氏を選挙の勝者と認定。ウルグアイもこれに続いた。
ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、推定770万人が国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。