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ペルー大統領選、過去最多の34人立候補、2026年4月投開票

近年続く政治不信と不安定さを反映し、多様な背景を持つ候補者が名を連ねる異例の選挙戦となっている。
2025年10月20日/ペルー、首都リマ、大統領選への出馬を表明するフジモリ・ケイコ氏(ロイター通信)

ペルーで2026年4月12日に実施される大統領選挙に向けて、過去最多となる34人の候補者が立候補の届け出を完了した。選挙管理委員会が24日、明らかにした。近年続く政治不信と不安定さを反映し、多様な背景を持つ候補者が名を連ねる異例の選挙戦となっている。

選管によると、候補者はいずれも法的な要件を満たしており、最終的な候補者リストは来年3月14日に確定する予定だとしている。立候補者一人ひとりに対して、一定の要件を満たしているかどうかの審査や異議申し立ての機会が設けられており、ペルー国民であれば誰でも候補者に対する異議申し立てを行うことができるという。

立候補者の顔ぶれは幅広い。政治家のほか、著名なコメディアンや元サッカー選手なども名を連ねており、政治経験の浅い人物も多い。中でも注目を集めているのが、かねてより大統領選に挑戦してきたフジモリ・ケイコ(Keiko Fujimori)氏である。フジモリ氏は故アルベルト・フジモリ(Alberto Fujimori)元大統領の娘であり、今回で4度目の挑戦となる。過去の選挙では2011年、2016年、2021年に出馬したが、いずれも敗北している。

また、選挙戦には社会主義政党の指導者でありながら国外にいるウラジミール・セロン(Vladimir Cerrón)容疑者や元プロサッカー選手、そして服役中のビスカラ(Martín Vizcarra)元大統領の兄弟らも含まれている。これら多様な立候補は政治的な分裂と有権者の不満を象徴している。

ペルーでは過去数年間にわたり政治的混乱が続いている。直近の大統領で任期を全うした者は2011~2016年に務めたウマラ(Ollanta Humala)元大統領のみであり、その後の6人の大統領はいずれも任期途中で辞任、弾劾、または汚職疑惑に直面して退陣している。直近ではボルアルテ(Dina Boluarte)前大統領が10月に解任されるなど、政府の安定性は極めて低い。

このような政治不信の高まりは選挙にも影響を及ぼしている。最新の世論調査では、有権者の約半数が支持する特定の候補者をまだ決めておらず、誰に投票するか迷っているか、無効票を投じる可能性を示唆している。これにより、4月の選挙で過半数を獲得する候補者が現れず、6月7日に決選投票が行われる可能性が高いとの見方が出ている。

政治アナリストは今回の選挙が単なる政権交代にとどまらず、国民の政治への信頼回復を図る重要な試金石になると指摘している。多くの候補者が現れる一方で、具体的な政策を提示する者が少ないとの批判もあり、選挙戦の行方は流動的だ。ペルー社会の分断と不満がどのような結果をもたらすか、国内外から注目が集まっている。

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