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IMF、アルゼンチンに野心的な「外貨準備」積み増し求める

アルゼンチン政府および関係当局が今後どのように準備資産の拡充と国際市場再参入に対応するかが注目される。
アルゼンチン、首都ブエノスアイレス(AP通信)

国際通貨基金(IMF)は4日、アルゼンチンに対し、外貨準備の積み増しに向けた「より野心的な政策」の実施を強く求めた。

IMFはアルゼンチンの金融・為替政策について、「単なる安定維持ではなく、国際資本市場への再参入や経済ショックへの備えとして、十分な準備資産の構築が不可欠である」と警鐘を鳴らした。

またIMFは「金融および外国為替政策は、アルゼンチンで適切なバッファを構築するため、より野心的な準備資産積み増しの道筋を支える必要がある」と指摘。「この努力は経済ショックに対処する力を強化するとともに、国際資本市場へのタイムリーな再参入を容易にするだろう」と説明した。

現在、アルゼンチン政府は国債の発行を検討しており、地方自治体や企業もすでに資本市場へのアクセスを始めている。これに加え、米国が提供した200億ドルのスワップ・ラインが準備資産として認められるかどうかについても、今後のIMFの審査対象となる見込みだ。審査結果は次の報告書に反映される。

IMFはアルゼンチン向けプログラムの次回目標を年末までに評価する計画を示しており、それに続いて新たなレビューが設定される可能性がある。ただし、次回協議の時期は未定である。

背景には2025年4月に承認された約200億ドルの4年融資枠の下で、アルゼンチンが安定化と改革を進めている事情がある。IMFの支援プログラムは財政の安定化と外貨準備の回復、そして為替制度や金融制度の強化を柱としており、今回の要求もその一環と位置づけられている。

ただし、アルゼンチンはこれまで為替制限の緩和や国債の再発行など外資導入に前向きな措置をとってきたものの、外貨準備の積み上げには苦戦してきた。以前の目標は下方修正されており、外貨不足の影響でIMFによるレビューが遅延した経緯もある。

今回のIMFの声明はアルゼンチンが財政再建やインフレ抑制など国内経済の安定に一定の成果をあげつつも、外部リスクに備えるための「安全網」構築が遅れているとの評価を反映するものだ。

IMFが「より野心的な準備資産の積み増し」を求める背景には、世界的な金融環境の不透明さ、国際資本の警戒感、そして過去の債務不履行歴、これらを踏まえた慎重さがある。

アルゼンチン政府および関係当局が今後どのように準備資産の拡充と国際市場再参入に対応するかが注目される。IMFプログラムの成果と今後の見通しは、同国のマクロ経済安定性と国際信用回復のカギとなるだろう。

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