◎南米における限定的な統合と正規化政策が弱い立場の人々を追い込み、米国に向かわせている。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は11日、南米各国に対し、仕事、医療、教育へのアクセスを見つけるのに苦労し、米国への亡命を余儀なくされている何百万人ものハイチ人とベネズエラ人のために保護制度を改善するよう要請した。
HRWはハイチとベネズエラの移民の現状をまとめた報告書の中で、「南米における限定的な統合と正規化政策が弱い立場の人々を追い込み、米国に向かわせている」と述べた。
その多くがコロンビアとパナマの間にある危険な密林地帯「ダリエン地峡(Darien Gap)」を通過するなど、長く危険な旅を余儀なくされている。
HRWは南米各国政府に対し、たとえ国内法では難民の資格を得られないとしても、適切な期間、更新可能な法的地位をすべてのベネズエラ人とハイチ人に与える保護体制を導入するよう求めた。
またHRWは労働許可証の取得を妨げる法律など、移民・難民の統合を妨げる障壁を撤廃するよう促した。
パナマ当局によると、過去1年半の間に70万人以上の移民が米国に向かうためにダリエンを越えたという。今年1~8月の通過者は約23万8000人となっている。
そこを通過した移民は他の中米諸国とメキシコを巻き込んで米南部国境を目指す。米当局が昨年拘束した移民は250万人に達した。その大半がベネズエラ人であった。
今年ダリエンを通過した約23万8000人のうち、1万1000人がハイチ人であった。
国連世界食糧計画(WFP)によると、ハイチでは今年初めに暫定政権が樹立されたものの、首都ポルトープランスの80%はギャングの支配下に置かれ、数百万人が深刻な食料不足に直面しているという。