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米国防長官、中南米の同盟国に麻薬カルテル対策の強化求める

ヘグセス氏は、麻薬カルテルが米国の治安や国境安全保障に直接的な脅威を与えていると指摘し、「必要なら米国は単独でも攻勢に出る用意がある」と述べた。
2026年3月5日/米フロリダ州ドーラルの米南方軍基地、ヘグセス国防長官(AP通信)

米国のヘグセス(Pete Hegseth)長官国防長官は5日、フロリダ州マイアミの米南方軍(SOUTHCOM)司令部で開かれた「アメリカズ対カルテル会議」で演説し、中南米諸国に対し麻薬カルテルの摘発で「守勢ではなく攻勢に出る」よう呼びかけた。各国が犯罪組織への対応を強化しなければ、米国が単独で行動する可能性もあると警告した形だ。

ヘグセス氏は、麻薬カルテルが米国の治安や国境安全保障に直接的な脅威を与えていると指摘し、「必要なら米国は単独でも攻勢に出る用意がある」と述べた。会議にはアルゼンチンやホンジュラス、ドミニカ共和国など、トランプ政権と関係の近い10数カ国の政府・軍関係者が参加した。多くの国の首脳は週末に予定されているトランプ(Donald Trump)大統領との会談にも出席する予定だという。

ヘグセス氏は長年にわたり警察や司法を中心とした取り締まりが主流だった麻薬対策について、「従来のやり方では不十分だ」と主張した。また、中南米と米国は共通の価値観を持つ地域だと強調したうえで、軍事力を含むより強力な手段でカルテルを抑止する必要があるとの認識を示した。

同会議ではホワイトハウスの副首席補佐官も演説し、麻薬カルテルを「この地域におけるイスラム国(ISIS)やアルカイダのような存在だ」と述べ、犯罪組織として扱うのではなく軍事的脅威として対処すべきだと訴えた。また、刑事司法ではなく「ハードパワー」と致死的な軍事力を用いるべきだとの立場を示した。

トランプ政権は2025年の発足以降、中南米への関与を強めており、メキシコやベネズエラのカルテルを外国テロ組織に指定した。さらにカリブ海や東太平洋では麻薬密輸船を標的とする軍事攻撃を実施するなど、軍事力を活用した対策を拡大している。こうした政策は、犯罪組織が地域の暴力や殺人率の上昇を招き、経済発展を妨げるとともに米国への移民増加の要因になっているとの認識に基づく。

一方で、麻薬対策の軍事化には懸念の声もある。中南米では軍の統制や監督体制が十分でない国も多く、過去には人権侵害や汚職の問題も指摘されてきた。専門家は、強力な文民統制や法制度が伴わなければ、軍事中心の対策が民主主義制度を弱体化させる可能性があると警告している。

今回の会議は、米国が西半球での影響力回復を目指す外交戦略の一環とされる。トランプ政権は地域の安全保障問題として麻薬カルテル対策を位置づけ、軍事協力を含む新たな枠組みづくりを進めようとしている。

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