▽ベネズエラのマドゥロ大統領は昨年、エセキボをめぐるICJでの裁判が続いているにもかかわらず、この地域にベネズエラの自治体を発足させる法律を施行した。
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ガイアナ政府は6日、国際司法裁判所(ICJ)に対し、隣国ベネズエラが係争地エセキボ地域で選挙を計画しているとして、阻止するよう要請した。
ベネズエラは5月25日に州知事選挙を含む地方選挙を実施する。
ベネズエラのマドゥロ(Nicolás Maduro)大統領は昨年、エセキボをめぐるICJでの裁判が続いているにもかかわらず、この地域にベネズエラの自治体を発足させる法律を施行した。
エセキボは石油資源が豊富で、過去数十年ガイアナの支配下に置かれている。その面積はガイアナの国土の7割近くを占める。
マドゥロ氏はガイアナがイギリスの植民地であった1899年にイギリス、ロシア、米国が国境を決めて以来、「ガイアナがエセキボを盗んだ」と繰り返し非難してきた。
ガイアナ外務省は声明で、「ICJはベネズエラのエセキボにおける選挙計画を阻止すべきであり、これは2023年のICJ命令に違反する行為である」と述べた。
また同省は「自国の領土に対する深刻で取り返しのつかない不利益を防ぐために、迅速な審理を要求した」としている。
ベネズエラ政府はコメントを出していない。マドゥロ氏はICJを「米国の手下」と呼んでいる。
ベネズエラの沿岸警備隊は先週末、米エクソンモービル社が管理するガイアナ沖の石油鉱区に接近。ガイアナはこれを領海侵犯と糾弾した。エクソン社はガイアナ沖で日量64万5000バレルの石油を生産している。
ベネズエラ政府はガイアナとその関係企業がベネズエラの領海を不法占拠していると主張している。
米政府は4日、米石油大手シェブロンによるベネズエラ産石油の輸出許可を打ち切ると発表。シェブロンは4月3日までにベネズエラからの輸出を停止する必要がある。
ベネズエラは世界最大の石油埋蔵量を誇り、かつては南米最大の経済大国であった。しかし、その経済は米政府による制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、800万人近くが国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。