ガイアナ政府がデジタルスクールを開校、カリブ海地域の教育振興に向け
これは同国の広大なアマゾン地帯やアクセスが困難だった地域の生徒にも質の高い教育を届けるための試みであり、すでに3万人以上の生徒が登録を済ませている。

ガイアナ政府が全国およびカリブ海地域を対象とするオンライン学校「ガイアナ・デジタル・スクール(Guyana Digital School)」を正式に立ち上げた。現地メディアが6日に報じた。
これは同国の広大なアマゾン地帯やアクセスが困難だった地域の生徒にも質の高い教育を届けるための試みであり、すでに3万人以上の生徒が登録を済ませている。
このデジタル校は高校レベルの教育をオンラインで提供し、理科・技術・人文科学などの基本科目を含む。来年にはカリキュラムの拡充を予定しており、単なる補助ではなく、本格的な教育の場として機能させる意向が示されている。
立ち上げを主導したアリ(Irfaan Ali)大統領は5日、このデジタル校を「第四次産業革命に対応する未来の国づくりの礎」と位置づけた。教育だけでなく、国全体の将来の発展戦略の一環として、国のデジタル化を通じた経済変革を見据えている。
政府によると、この取り組みには近年の石油収入の急増が大きな財源となっている。ガイアナは油田ブームによって日々多額の収入を得ており、その利益を教育分野に再投資する形で、大学の授業料無償化や教育インフラ拡充を進めてきた。こうした背景が、国民誰もが教育を受けられる土台を整える可能性を開いた。
また、このデジタル校はガイアナ国内のみならず、周辺カリブ海諸国にも開放される予定で、隣国の子どもたちも利用できる。実際に隣国からのアクセスも確認されており、地域をまたいだ教育の底上げと人材育成・地域連携の新たなモデルとなることが期待されている。
政府関係者はこのデジタル校について、既存の学校教育に置き換わるものではなく、あくまで補完として位置づけている。インタラクティブな授業、デジタル教科書、広範なオンラインライブラリ、AIを活用した学習支援といった仕組みによって、従来の学校では難しかった学習者個々の進度やニーズに対応する柔軟な教育が可能となるという。特に離島や奥地など通学が難しい地域の生徒にとって、画期的な可能性を秘めている。
この新たな教育インフラはガイアナ国民にとって「すべての子どもたちに学ぶ権利を」という理念の具体化であり、また、経済成長と社会発展を両立させようという国家のビジョンの表れでもある。今後、どのように地域社会やカリブ海全体に浸透し、教育の格差是正や人材育成に寄与するか注目される。
