コロンビア・ウリベ元大統領、証人買収と収賄罪で有罪判決
ウリベ氏は首都ボゴタの裁判所に出廷せず、メデジン近郊の自宅で判決を聞いた。
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コロンビアの裁判所は28日、証人買収と収賄の罪に問われているウリベ(Álvaro Uribe)元大統領に有罪判決を言い渡した。
ウリベ氏は10年以上前、当時の野党議員に圧力をかけるよう準軍事組織に命じ、同議員と準軍事組織の創設を結び付けたとされる。
この議員は逮捕も起訴もされず、検察はその後、ウリベ氏が対立候補を貶めるために証人を買収したと告発。刑事捜査が始まった。
ウリベ氏は2002年から2010年まで大統領を、現在は上院議員を務めている。
コロンビアの元大統領が刑事告発されたのは初めてである。
ウリベ氏は2020年にこの事件で約2カ月間取り締まりを受けた際、「事実無根」と反論。「検察が政治的な理由で捜査を進めている」と主張していた。
証人買収で有罪となった場合は禁固12年以下。収賄罪は8年以下に処される可能性がある。
ウリベ氏は首都ボゴタの裁判所に出廷せず、メデジン近郊の自宅で判決を聞いた。地元メディアによると、ウリベ氏は今のところコメントを出していない。
量刑は後日言い渡される予定。ウリベ氏は控訴する見込みだ。
ボゴタの裁判所前ではウリベ氏の支持者と反対派が短時間衝突。警察が介入した。
判事はウリベ氏が弁護士と共謀して、刑務所に収監されている準軍事組織の元メンバー3人を説得し、ウリベ氏と同組織との関係について調査していた左派議員に偽の情報を提供させたと指摘。「そう判断するのに十分な証拠がある」と述べた。
ウリベ氏は2012年、政敵のひとりである左派議員を告発。2018年、高裁はこの議員に対する捜査を打ち切り、ウリベ氏が政敵を貶めるために証人を買収した疑いがあるとして、新たな捜査を開始した。
捜査当局が公開した音声データによると、ウリベ氏とその弁護士は自分に不利な証言をすることになっていた準軍事組織の構成員2人を寝返らせる方法について議論していたという。
ウリベ氏の弁護士はこの音声データについて、「違法に盗聴されたもの」と主張している。
ウリベ氏は大統領在任中、同国最大のゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」との戦いで歴史的な勝利を収めた。
FARCはウリベ氏が退任後、2016年に政府と和平協定を結んだ。
ルビオ(Maro Rubio)米国務長官は28日、X(旧ツイッター)への投稿でウリベ氏の裁判に言及。「政府が司法を武器化した」と主張した。
またルビオ氏は「過激な裁判官によるコロンビアの司法の武器化は憂慮すべきレベルに達した」と述べた。
元左翼ゲリラのペトロ(Gustavo Petro)大統領はこの投稿に反発。「ルビオ氏がコロンビアの主権に干渉しようとしている」と批判した。
またペトロ氏は「世界はコロンビアの司法制度を尊重しなければならない」と書いた。
コロンビア内戦の犠牲者は45万人以上と推定されており、その大半が1985年~2018年の戦闘で死亡したとされる。
政府とFARCは2016年に和平協定を結び、1万3000人以上のゲリラが武器を置いた。
22年に就任したペトロ氏は内戦終結に向け、他の左翼ゲリラとの和平交渉をまとめ、平和をもたらすと誓ったが、治安は改善するどころか悪化しているように見える。