ブラジル・ボルソナロ氏の長男、2026大統領選出馬へ「我々は引き返さない」
フラヴィオ氏は週末、父親が収監されている刑務所を訪ね、出馬について話し合ったとみられる。
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ブラジルのボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領の長男であるフラヴィオ・ボルソナロ(Flávio Bolsonaro)上院議員が9日、来年の大統領選挙への出馬を正式に表明し、「この決断は不可逆的である」と語った。
フラヴィオ氏は週末、父親が収監されている刑務所を訪ね、出馬について話し合ったとみられる。ボルソナロ氏は現在、2022年の選挙敗北後にクーデターを企てた罪で有罪となり、27年の刑に服している。フラヴィオ氏は父の支持を受け、右派・自由党の候補としての出馬を決意したようだ。
フラヴィオ氏は記者団に対し「この立候補は取り返しのつかない決断だ。そして、父の言葉通り、我々は引き返さない。今は同志を募る時だ」と語った。
この出馬表明によって、来年の選挙戦線は一気に注目を集める構図となった。従来、右派の有力候補として期待されていた、より穏健派で市場志向のサンパウロ州知事らを差し置き、フラヴィオ氏が党の代表として正式に位置づけられたことで、保守勢力内の支持構造が大きく動いている。
ただし、市場や一部の中道派・穏健右派からは懸念が示されている。実際、フラヴィオ氏の出馬表明を受けて、ブラジルの通貨レアルが下落、株価指数も急落した。
これはフラヴィオ氏が父の政治路線を継続する可能性が高く、経済政策が不透明とみなされたためだ。
対立候補となる現職のルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領はすでに再選を目指す意向を示しており、左派と右派の構図が再び鮮明になる見込みだ。
一方で、フラヴィオ氏には過去の汚職疑惑(公費の不正流用など)や兄弟・支持者による武装組織とのつながりをめぐる批判も根強く、今回の立候補に対しては賛否両論がある。とはいえ、党内の支持を受け、右派の代表として再出発を図る構えである。
このように、右派を率いた前大統領の息子による“正統な継承”という形で始まる今回の選挙戦、ブラジルの政治地図は再び塗り替えられる可能性がある。来年の選挙では、国民の間でどれほどこの“ボルソナロ路線”が支持されるか、また経済や治安、国際関係といった争点がどのように争われるかが注目される。
