政治犯の釈放を待つ人々、希望と不安の狭間で ベネズエラ
1月12日、カラカス市内の刑務所前には多くの人々が集まった。
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ベネズエラの首都カラカスなどで政治犯や活動家らの家族が釈放を待ちわびて不安な日々を送っている。暫定政権は国際的圧力の高まりを受けて政治犯の釈放を「善意の行動」として約束したが、実際に解放された人はごく一部にとどまり、期待と現実の乖離が深刻化している。
1月12日、カラカス市内の刑務所前には多くの人々が集まった。ある女性の夫は元警察官で、2025年11月17日に拘束された。理由は明かされていないという。彼女は先週、暫定政権が政治犯の釈放を約束して以来、その1人に夫が含まれることを願ってここに留まっている。
ロドリゲス(Delcy Eloína Rodríguez Gómez)暫定大統領は1月3日に米国主導の作戦で独裁者のマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領が拘束・国外移送されたことを受け、政治犯や市民社会の指導者、ジャーナリストの釈放を進める意向を表明した。暫定政権はこれを「平和を求める行動」と位置づけ、即座に多数の受刑者を解放することで国際社会へのアピールを図っているとみられる。
しかし実際の釈放数は限られている。地元の人権団体によると、1月12日までに確認された人は49人で、これは人権団体などが政治的理由で拘束されていると見なす800人を超える受刑者のごく一部に過ぎない。解放された中にはイタリア、スペイン、アルゼンチン、イスラエル、コロンビアの市民も含まれているが、多くの家族は依然として不透明な状況に置かれている。
米ホワイトハウスは昨年のノーベル平和賞受賞者であるベネズエラの野党指導者マリア・コリナ・マチャド(María Corina Machado)氏が近くトランプ(Donald Trump)大統領と会談する予定であると明らかにした。トランプ氏は週末、自身のSNSで解放は米国の要請によるものだと述べ、ベネズエラが政治犯釈放を進めていると強調している。一方で、家族らの間では釈放情報の正確性への疑念も強まっている。
釈放が進まない背景には、政府による情報開示の不足と拘束の根拠が不明瞭な点がある。カラカス在住の女性の夫は政府を批判するメッセージを送ったとして2025年11月26日に逮捕されたが、48日以上も詳細が明かされず不安な日々が続いていると語る。「彼がどう扱われているか分からない。隔離されているのか、身体的・心理的な苦痛を受けているのかも分からない」と述べ、切実な心情を明かした。
釈放をめぐる国際的な反応も賛否が分かれる。国連のベネズエラに関する調査チームは、解放を歓迎しつつもその規模は要求されている「全政治犯の即時無条件釈放」からはほど遠いと指摘している。多くの人権団体や国際機関も、透明性のあるリスト公表や釈放条件の明示を求める声明を出しており、今後の進展に注目が集まっている。
こうした中で、暫定政権は市民生活の回復も強調している。モールや学校、ジムなどが再開し、通常の光景が戻りつつある一方で、政治犯家族の苦悩と政府の約束の実現の間には大きな隔たりが残されている。家族らは寒さの中で待ち続け、解放されるという希望と不安の狭間で日々を過ごしている。
