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エクアドル北西部の刑務所でギャング間抗争、17人死亡、今週2回目

事件はコロンビア国境に近い刑務所内で発生。ギャング間抗争とみられる。
2025年9月25日/エクアドル、北西部エスメラルダス県、暴動が発生した刑務所前(Getty Images/AFP通信)

エクアドル北西部エスメラルダス県の刑務所で暴動があり、少なくとも17人が死亡した。警察が25日、明らかにした。

それによると、事件はコロンビア国境に近い刑務所内で発生。ギャング間抗争とみられる。

それ以上の詳細は明らかになっていない。

地元テレビ局は情報筋の話しとして、「軍と警察が支配権を取り戻した」と伝えている。

エクアドルでは22日にも南部の刑務所でギャング間抗争が発生し、14人が死亡したばかりである。

エクアドルの人口は約1800万人。昨年の殺人認知件数は約8000件。人口10万人あたりの殺人件数は世界トップクラスである。

米国務省はエクアドルの2大ギャングであるロス・チョネロスとロス・ロボスを「外国テロ組織」に指定している。

エクアドルの刑務所では近年、ギャング間抗争が深刻化しており、国内治安の大きな課題となっている。刑務所内では複数の組織犯罪グループが勢力を競い合い、支配権や利益を巡る暴力が頻発している。特にコカイン密輸や違法薬物取引に関連するギャングが刑務所内でも影響力を持ち、対立が激化している。抗争はしばしば集団リンチや火災、処刑といった形で表面化し、収監者の大量死亡につながるケースも少なくない。

刑務所の管理体制の脆弱さが抗争を助長している。施設は過密状態にあり、監視員の人数や権限が不足しているため、暴力行為の発生を抑制できない。刑務所ごとにギャングの縄張りが存在し、職員が介入できない「無法地帯」と化している部分もある。このような状況は、内部での権力闘争を一層激化させ、抗争の連鎖を生む原因となっている。

政府は刑務所改革や治安強化を試みているが、資源不足や腐敗の問題により十分な効果を上げられていない。緊急対応として収監者の移送や隔離措置を行うこともあるが、抗争の根本的解決には至っていない。さらに、ギャング間抗争は刑務所内にとどまらず、刑務所外の地域社会にも影響を及ぼすことがある。釈放者や関係者を通じて外部での犯罪活動や報復行為につながるケースが報告されており、社会全体の治安リスクとなっている。

エクアドルの刑務所におけるギャング間抗争は組織犯罪の勢力争いと刑務所管理の脆弱性が複合的に絡んだ問題であり、単なる施設内の暴力事件にとどまらず、国内の治安全保障に直結する深刻な課題である。政府は刑務所制度の近代化や監視体制の強化、犯罪組織への取り締まりを一層進める必要がある。

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