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エクアドル南西部の刑務所で受刑者13人死亡、爆発後の捜索で判明

警察によると、遺体が見つかったのは同刑務所の複数房。爆発物が起爆した後に警察・軍当局が突入・捜索を行ったという。
エクアドル、北西部エスメラルダス県、暴動が発生した刑務所前(Getty Images/AFP通信)

エクアドル南西部エル・オロ州の港町にある刑務所で13人の受刑者の遺体が発見された。警察が8日、明らかにした。

これは7日夜、刑務所の外周で爆発があったことを受け、翌8日に州・刑務所当局が施設内の捜索を実施した結果、判明したものである。

警察によると、遺体が見つかったのは同刑務所の複数房。爆発物が起爆した後に警察・軍当局が突入・捜索を行ったという。

受刑者たちはビニール袋などで窒息死させられた可能性があると報じられており、死因を明らかにするため、司法解剖およびさらなる捜査が進められている。

この事件が起きた刑務所では先月にも31人の受刑者が死亡する大規模な流血事件があったばかり。

エクアドルの刑務所は収容能力を大幅に上回る囚人数、組織犯罪グループ(ギャング)による支配、深刻な管理体制の脆弱さ、これらが複合し、長年「南米でも最も危険な監獄群」のひとつとされてきた。近年、国内の麻薬密売ルートやギャングの縄張り争いの激化とともに、刑務所内暴力が急増している。

また、今回のように「外での爆発 → 捜査 → 死亡者多数発見」という構図は、警備の目をそらしつつ暴力や殺害を実行する新たな手口とみられており、刑務所管理当局や法執行機関にとっても重大な警鐘となっている。

報道によると、ドローンによる爆発装置運搬の可能性や、受刑者による計画的な共謀の疑いも浮上しており、拉致・絞殺などの「隠蔽型殺害」が行われた可能性がある。

警察当局は司法解剖と防犯カメラの解析、受刑者の拷問・暴行の有無、爆発物の持ち込み経路、関係者らの聞き取り調査などを進めている。報道によると、当局は数日にわたる「包括的な捜査」を行う予定としており、事件の全容解明に努めるという声明を出している。

この事件はエクアドル国内における刑務所制度の崩壊、ならびにギャング犯罪と麻薬密売の影響の深刻さを改めて浮き彫りにするものである。過密収容、管理体制の欠如、反社会勢力の影響。これらが重なった結果として、受刑者の命を奪うだけでなく、人権侵害、法的責任、国家の統治能力そのものに対する国際的な批判や懸念が高まる可能性がある。

今回の13人の死亡は流血事件の連鎖の中でも最新の悲劇であり、同国の刑務所改革や治安維持政策の見直しを迫る重大な転換点となるだろう。

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