ブラジルで強まる愛国心、トランプ関税と最高裁判事への制裁で結束、分断も
ルラ大統領の支持率は一時20%台にまで低迷。しかし、トランプ米大統領の関税とジモラエス判事への圧力が高まるにつれ、ルラ氏の支持率は急回復した。
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トランプ米政権によるブラジル産輸入品への50%関税と最高裁判事への制裁により、ブラジル国民の愛国心に火がつき、ルラ政権への追い風になっている。
ブラジル最高裁は4日、クーデターを起こした罪などで起訴されているボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領に対し、自宅軟禁を命じた。
トランプ米政権の圧力に直面している最高裁のジモラエス(Alexandre de Moraes)判事はボルソナロ氏が息子を含む3人の国会議員を通じてコンテンツを拡散することで、自分に課された命令に違反したと指摘。自宅軟禁を命じた。
TVグローボが5日に公表した世論調査によると、ボルソナロ氏への命令に賛成と回答した人は53%、反対は47%であった。
米国との対立は来年10月の大統領選に大きな影響を与える可能性がある。
ルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領の支持率は一時20%台にまで低迷。しかし、トランプ(Donald Trump)米大統領の関税とジモラエス氏への圧力が高まるにつれ、ルラ氏の支持率は急回復した。
トランプ氏は先月初め、盟友のボルソナロ氏が「魔女狩り裁判」にかけられているとして、この裁判を打ち切るよう要求。ブラジル産の輸入品に50%の関税を課した。ただし、多くの例外が適用されている。
ルラ氏はこれに猛反発。司法への介入は受け入れられないと応戦し、自国の法律に基づいて「相応の措置を取る」としている。
ボルソナロ氏はクーデターを起こした罪などで起訴されている。
ジモラエス氏は今年3月、ボルソナロ氏を被告人と認定し、公判の開始を決定した。
ボルソナロ氏はこの裁判を政治的動機によるものと批判し、トランプ氏に助けを求めている。
両国の緊張が高まる中、米財務省は先月末、人権侵害の加害者や腐敗した役人を対象とする「グローバル・マグニツキー人権責任法」を制裁の根拠に、ジモラエス氏に制裁を科した。
この決定により、ジモラエス氏が米国内で所有する資産や財産は全て凍結された。
ジモラエス氏はこの制裁を一蹴し、「仕事を続ける」と表明した。
ボルソナロ氏の支持者と一部の穏健派は最高裁の自宅軟禁命令をやり過ぎと批判する一方、ルラ氏の支持者や他の穏健派は、一連の問題を司法に委ねて前進したいと考えている
TVグローボは専門家の話しとして、「トランプ氏は左派のルラ政権に圧力をかけて分断を煽り、ボルソナロ氏を含む右派をバックアップしたいと考えていたが、最新の世論調査はそれが裏目に出ていることを示している」と報じた。
数十のメディアと世論調査会社による調査ではルラ氏を支持すると回答したは平均45%、支持しないと回答した人は47%と拮抗。以前は支持するが23%、支持しないが66%であった。