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コロンビア同時多発テロ、死者19人に、左翼ゲリラが犯行声明

専門家は大統領選挙が来月5月に迫る中、左翼ゲリラが支配地域を拡大するため、攻撃を強化する可能性が高いと予測している。
コロンビアの左翼ゲリラ「民族解放軍(ELN)」の戦闘員(Getty Images)

南米コロンビアで自動車爆弾と警察のヘリコプターへの攻撃により少なくとも19人が死亡し、複数の左翼ゲリラが犯行声明を出した。現地メディアが22日に報じた。

ペトロ(Gustavo Petro)大統領は麻薬カルテルの犯行と非難している。

警察によると、北西部アンティオキア州で21日、コカの栽培地を根絶するため人員を輸送中だったヘリコプターが標的となり、少なくとも13人の警察官が死亡したという。

アンティオキア州知事はX(旧ツイッター)に声明を投稿。「コカ葉の栽培地上空を飛行していたヘリがドローンによる攻撃を受けた」と書いた。

ヘリはこの攻撃により墜落した。

AP通信は目撃者の話しとして、「左翼ゲリラの戦闘員がロケットランチャーを発射し、ヘリを撃墜した」と伝えているが、真偽は不明だ。

一方、西部の都市カリでも21日、軍の航空学校近くで爆発物を積んだ車が爆発し、6人が死亡、70人以上が負傷した。

それ以上の詳細は明らかになっておらず、犯行声明を出した組織も確認されていない。

当局は21日の両攻撃をコロンビア革命軍(FARC)から分離した組織の犯行と断定した。

地元メディアはFARCの分派である左翼ゲリラ「FARC-EMC」と「FARC-EP」が犯行声明を出したと報じた。

FARC-EMCはFARCの元現地指揮官が率い、戦闘員数は約3500人と推定されている。FARCの戦闘員1万4000人以上が2016年の和平協定で武器を置いた。

FARC-EPもFARCの元現地指揮官が率い、戦闘員数は約1500人と推定されている。

同国最大の左翼ゲリラ「民族解放軍(ELN)」は22日、Xへの投稿で21日の攻撃を称賛し、ペトロ氏を「偽物の大統領」と呼んだ。

専門家は大統領選挙が来月5月に迫る中、左翼ゲリラが支配地域を拡大するため、攻撃を強化する可能性が高いと予測している。

22年に就任したペトロ氏は内戦終結に向け、左翼ゲリラとの和平交渉をまとめ、平和をもたらすと誓ったが、治安は改善するどころか悪化しているように見える。

コロンビア内戦の犠牲者は45万人以上と推定されており、その大半が1985年~2018年の戦闘で死亡したとされる。

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