◎コロンビア内戦の犠牲者は45万人以上と推定されており、その大半が1985年~2018年の戦闘で死亡した。
コロンビア政府と同国最大の左翼ゲリラが13日、メキシコの首都メキシコシティで和平交渉を再開させた。
「民族解放軍(ELN)」は1960年代に学生、労働組合、神父らによって結成され、キューバ革命からインスピレーションを得たとされる。
構成員数は2500~4000人と推定され、ベネズエラでも活動し、金鉱山での違法採掘や麻薬密売で利益を上げている。
元左翼ゲリラのペトロ(Gustavo Petro)大統領は昨年8月の就任後まもなく、コロンビア内戦を終結させるためにELNとの和平を目指すと宣言し、11月に交渉をスタートさせた。
第1回交渉は3週間続き、一定の進展があったと報告されている。
政府とコロンビア革命軍(FARC)は2016年に和平協定を締結したものの、ELNは活動を続け、2019年に首都ボゴタの警察学校を爆破。士官候補生22人を殺害した。前政権はこの事件を受け、ELNとの交渉を打ち切った。
政府の代表団は13日、記者団に対し、「第2ラウンドでは恒久的な解決策、一時的な休戦ではなく、停戦と和平を確立するために協議する予定だ」と語った。
ELNの交渉団は、「我々は全国を対象とする停戦を目指し、政府に抑圧と暴力に基づかない公正な反麻薬政策を推し進めてほしいと思っている」と語った。
地元メディアによると、ELNの戦闘員は約200の町や村に拠点を置き、コカイン生産で大きな利益を上げているという。
ペトロ氏はELNとの和平協定について、「この国に完全な平和をもたらす要石」と述べている。
FARCは和平に応じたものの、一部の農村地域は依然として麻薬カルテルや左翼ゲリラの支配下にある。コロンビア内戦の犠牲者は45万人以上と推定されており、その大半が1985年~2018年の戦闘で死亡した。
地元メディアによると、ELNの規模はFARCに比べると小さいが、近年、FARCの元戦闘員を雇うなどして勢力を拡大しつつあるという。
ELN指導部はペトロ政権が麻薬カルテルとも和平協定を結ぶと発言したことに懸念を抱き、左翼ゲリラとカルテルを同等とすべきでないと主張している。
交渉にはメキシコ、ブラジル、ノルウェー、ベネズエラ、チリ、キューバの代表団も参加する。