コロンビア・ウリベ元大統領、証人買収と収賄罪で12年の自宅軟禁

ウリベ氏は10年以上前、当時の野党議員に圧力をかけるよう準軍事組織に命じ、同議員と準軍事組織の創設を結び付けたとされる。
南米コロンビアのウリベ上院議員(Getty Images/AFP通信)

南米コロンビアの裁判所は1日、証人買収と収賄の罪に問われているウリベ(Álvaro Uribe)元大統領に12年の自宅軟禁を言い渡した。

地元メディアによると、ウリベ氏の弁護団は控訴する意向を示しているという。

ウリベ氏は10年以上前、当時の野党議員に圧力をかけるよう準軍事組織に命じ、同議員と準軍事組織の創設を結び付けたとされる。

この議員は逮捕も起訴もされず、検察はその後、ウリベ氏が対立候補を貶めるために証人を買収したと告発。刑事捜査が始まった。

ウリベ氏は2002年から2010年まで大統領を、現在は上院議員を務めている。

コロンビアの元大統領が刑事告発されたのは初めてであった。

ウリベ氏は2020年にこの事件で約2カ月間取り締まりを受けた際、「事実無根」と反論。「検察が政治的な理由で捜査を進めている」と主張していた。

証人買収で有罪となった場合は禁固12年以下。収賄罪は8年以下に処される可能性があった。

地元の複数のメディアは1日、ウリベ氏の弁護士の声明を引用。「これは政治的迫害であり、到底受け入れられない」と報じた。

ウリベ氏本人も1日、判決を前にX(旧ツイッター)を更新し、「もちろん控訴する」と書いた。

ウリベ氏は首都ボゴタの裁判所に出廷せず、メデジン近郊の自宅で判決を聞いた。

ボゴタの裁判所前では今週初めにウリベ氏の支持者と反対派が短時間衝突。警察が介入する事態となった。

判事はウリベ氏が弁護士と共謀して、刑務所に収監されている準軍事組織の元メンバー3人を説得し、ウリベ氏と同組織との関係について調査していた左派議員に偽の情報を提供させたと指摘。「そう判断するのに十分な証拠がある」と述べた。

ウリベ氏は2012年、政敵のひとりである左派議員を告発。2018年、高裁はこの議員に対する捜査を打ち切り、ウリベ氏が政敵を貶めるために証人を買収した疑いがあるとして、新たな捜査を開始した。

捜査当局が公開した音声データによると、ウリベ氏とその弁護士は自分に不利な証言をすることになっていた準軍事組織の構成員2人を寝返らせる方法について議論していたという。

ウリベ氏の弁護士はこの音声データについて、「違法に盗聴されたもの」と主張している。

ウリベ氏は大統領在任中、同国最大のゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」との戦いで歴史的な勝利を収めた。

FARCはウリベ氏が退任後、2016年に政府と和平協定を結んだ。

米国のルビオ(Maro Rubio)国務長官は6月28日、Xへの投稿でウリベ氏の裁判に言及。「政府が司法を武器化した」と主張した。

またルビオ氏は「過激な裁判官によるコロンビアの司法の武器化は憂慮すべきレベルに達した」と述べた。

元左翼ゲリラのペトロ(Gustavo Petro)大統領はこの投稿に反発。「ルビオ氏がコロンビアの主権に干渉しようとしている」と批判した。

またペトロ氏は「世界はコロンビアの司法制度を尊重しなければならない」と書いた。

コロンビア内戦の犠牲者は45万人以上と推定されており、その大半が1985年~2018年の戦闘で死亡したとされる。

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