◎左翼ゲリラ「民族解放軍(ELN)」は1960年代に学生、労働組合、神父らによって結成され、キューバ革命からインスピレーションを得たとされる。
コロンビア政府は21日、国内最大の左翼ゲリラ「民族解放軍(ELN)」との和平交渉を正式に再開した。
双方の代表団はベネズエラの首都カラカスで会談した。
今年8月に就任した元左翼ゲリラのペトロ(Gustavo Petro)大統領は同国初の左派指導者であり、ゲリラとの和平と内戦の終結を公約に掲げている。
ELNは1960年代に学生、労働組合、神父らによって結成され、キューバ革命からインスピレーションを得たとされる。
構成員数は約4000人と推定され、ベネズエラでも活動し、金鉱山での違法採掘や麻薬密売で利益を上げているという。
2016年にコロンビア政府とコロンビア革命軍(FARC)が和平協定に合意し、ELNは国内で活動する最大のゲリラとなった。
それ以来、ELNはFARCの支配下にあった地域で活動を活発化させ、身代金目的の誘拐や石油インフラなどに攻撃を仕掛けている。米国とEUはELNをテロ組織に指定している。
前政権は2019年、ELNの戦闘員が首都ボゴタの警察学校を爆破し、士官候補生22人を殺害したことを受け、和平交渉を打ち切った。
ELNとFARCの戦闘員の一部は裏でつながっていると噂されているが、詳細は不明。FARCの反政権派は2016年の和平協定に反対しており、現在も破壊活動を続けているとみられる。
地元メディアは和平交渉再開を歓迎し、50年以上続く内戦に終止符が打たれる可能性があると報じている。
ペトロ氏はベネズエラのマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領に交渉の仲介役を依頼。マドゥロ氏はこれを受け入れ、両国の関係は大きく改善した。
キューバとノルウェーの代表も仲介役を務める。
ELNの報道官は記者団に対し、「私たちは和平を求めている」と語った。
コロンビア政府の代表団を率いるルエダ氏は、「人間の尊厳が和平交渉の焦点になることを望む」と述べた。
コロンビア内戦の犠牲者は45万人以上と推定されており、その大半が1985年~2018年の戦闘で死亡した。