コロンビアの左翼ゲリラELNが警察官2人殺害 南部カリ
2人はバイクで市内を巡回中、路肩に設置されたIED(即席爆発装置)とみられる爆弾の爆発に巻き込まれた。
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コロンビア政府は16日、南部カリで警察官2人が左翼ゲリラ「民族解放軍(ELN)」による爆弾攻撃で死亡したと発表した。
2人はバイクで市内を巡回中、路肩に設置されたIED(即席爆発装置)とみられる爆弾の爆発に巻き込まれた。
当局はELNがこの攻撃に関与した疑いがあると非難したが、同組織は犯行声明を出していない。
この事件はELNが米国によるカリブ海地域への軍事力増強に抗議して開始した72時間の「武装ストライキ」と重なって発生した。同ストは12月14日から実施され、ELNの支配地域では学校や商店の閉鎖、一般市民への外出制限などが行われ、政府関連施設への攻撃が相次いでいる。
スト期間中、ELNは複数の警察署や軍基地を攻撃したとされ、別の地域では救急隊員が死亡するなどの被害が報告されている。中央政府は国境地帯など複数の州で攻撃があったと明らかにした。
ELNは1960年代に結成されたマルクス主義のゲリラ組織で、国内外で長年にわたり政府軍や警察を相手に武装闘争を続けてきた。推定6000人の戦闘員を擁し、コロンビアと隣国ベネズエラの国境地帯で活動しているとされる。また、違法な鉱山採掘や麻薬取引ルートの運営にも関与しているという。
ELNが今回の武装ストを始めた背景には、トランプ政権がベネズエラ政府への圧力を強めている現状がある。米国はカリブ海域への海軍派遣や戦闘機の展開を進め、独裁的なマドゥロ政権に対する制裁や軍事的圧力を強めている。コロンビア政府はこれらの動きを批判し、米国の行動を「海賊行為」と表現するなど強い不快感を示してきた。
一方、コロンビア政府はELNの武装ストについて「何の意味もない」として強く非難している。AP通信は政府当局者の話しとして、「ELNの武力行使が農村部や都市部の一般市民に被害をもたらしており、抗議のための手段としては到底正当化できない」と報じた。
また、政府とELNとの和平交渉はこれまで断続的に行われてきたが、襲撃が続いた結果、2025年1月以来中断されている。ペトロ政権は「完全な和平」を目指す意向を示し、ELNに停戦や武装解除に応じるよう求めてきた。
国内ではELNの武装ストにより一部地域で混乱が続いており、市民生活への影響が深刻化している。政府は治安維持と武装勢力への対処を強化すると表明しているが、今後の情勢は依然として不透明である。
