◎8月に就任した元左翼ゲリラのペトロ大統領は武装勢力との完全な和平を目指すと公約に掲げている。
コロンビア最大の左翼ゲリラ「民族解放軍(ELN)」は19日、政府との和平協議が順調に進んでいるとして、年末年始停戦を行うと発表した。
政府とELNの和平交渉第1ラウンドは先週終了した。
ELNの報道官はフェイスブックに投稿した動画で、「停戦期間はクリスマスイブから1月2日まで」と一方的に宣言した。
また報道官は、「停戦期間中は軍および警察への攻撃を控えるものの、攻撃を受けた場合は反撃する」と強調した。
和平協議に参加している国連コロンビア大使はツイッターに、「停戦は苦しみをやわらげ、人道危機を改善する」と投稿。ELNの決定を歓迎した。
ELNは1960年代に学生、労働組合、神父らによって結成され、キューバ革命からインスピレーションを得たとされる。
構成員数は2500~4000人と推定され、ベネズエラでも活動し、金鉱山での違法採掘や麻薬密売で利益を上げている。
政府とELNの代表は先月、ベネズエラなどの仲介を受け、和平協議を開始した。
8月に就任した元左翼ゲリラのペトロ(Gustavo Petro)大統領はELNなどの武装勢力との完全な和平を目指すと公約に掲げている。
第1ラウンドで停戦は実現しなかったものの、双方は先週、紛争の被害を強く受ける地域に緊急支援を提供することなどで合意した。第2ラウンドは来月中に始まる予定である。
国防省の報道官は19日、ELNの停戦申し入れを歓迎し、和平協議開始以来、国境周辺の暴力の発生頻度が著しく低下していると明らかにした。
双方は暴力と治安の悪化により避難していた西部の先住民族の帰還を認めることでも合意している。
来月から始まる協議にはメキシコ政府も仲介として参加する予定だ。ベネズエラ、ノルウェー、キューバの代表も引き続き参加する。
コロンビア内戦の犠牲者は45万人以上と推定されており、その大半が1985年~2018年の戦闘で死亡した。