◎先月の大統領選をめぐる混乱と世界の関心はクリスマスが前倒しされても消えそうにない。
ベネズエラの独裁者であるマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領が2日、毎週恒例の公共放送生ライブで「もうクリスマスの匂いがする」と視聴者に語りかけ、「10月1日をクリスマスと宣言する」と発表した。
マドゥロ氏は「まだ9月だというのに、もうクリスマスの匂いがする」と主張。「だから今年は、私を支持する全国民に敬意を表し、皆さんへの感謝の気持ちを込めて、10月1日を一足早いクリスマスと宣言します」と述べた。
「私はとても気分がいいのです。メリークリスマス!」
一部の国民は早めのクリスマスにウンザリしているようだ。
SNSには様々な意見が寄せられている。マドゥロ氏を支持する国会議員のひとりは「メリークリスマス、大統領。再選おめでとうございます」とX(旧ツイッター)に投稿した。
反対派とみられる女性は「国外でクリスマスキャロルを歌いなさい、この犯罪者め」と投稿している。
首都カラカスで早めのメリークリスマス宣言を聞いた男性はAP通信の取材に対し、「お金もなく、この政治危機の真っただ中、誰が早いクリスマスを祝うんだい?」と嘆いた。
マドゥロ氏が早めのクリスマスを宣言したのは今回が初めてではない。ただし、2カ月以上も前倒ししたのは初めだ。パンデミック時には「平和、幸福、安全がやってくる!」と主張していた。
先月の大統領選をめぐる混乱と世界の関心はクリスマスが前倒しされても消えそうにない。世界の関心は進行中の争乱、野党への弾圧、全野党の統一候補に対する逮捕状に注がれている。
マドゥロ氏の支配下に置かれる選挙管理委員会は7月28日に行われた大統領選の集計結果を公表せず、現職のマドゥロ氏が得票率51%で勝利したと発表。
しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保したと報告。それによると、全野党の統一候補であるゴンザレス(Edmundo González)氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけていたという。
米国を含む数カ国が選挙の勝者をゴンザレス氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけている。
しかし、最高裁判所は先月末、マドゥロ氏の勝利を認定した。
そして首都カラカスの地方裁判所は2日、ゴンザレス氏が選挙結果を捏造し、暴動を煽ったなどとして、逮捕状を発行した。
ゴンサレス氏は選挙翌日以来、公の場に姿を見せていない。
ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、800万人近くが国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。