米石油大手シェブロン、ベネズエラで事業再開へ、制限付きライセンス取得

トランプ政権はベネズエラで操業している石油会社(シェブロン、伊エニ、スペインのレプソルなど)に対し、ベネズエラでの操業と輸出を5月末までに停止するよう命じた。この命令は予定通り発効した。
米石油大手シェブロンのガソリンスタンド(Getty Images)

米石油大手シェブロンが制裁対象のベネズエラでの事業運営に関する制限付きライセンスを取得した。現地メディアが30日に報じた。

ロイター通信は情報筋の話しとして、「米当局は制限付きライセンスを許可したが、マドゥロ政権に利益が流れることはない」と伝えている。

ベネズエラの国営石油会社PDVSAはトランプ米政権が同社のパートナーが石油の操業と輸出を行うことを再び認可したら、バイデン前政権時代のライセンスと同様の条件の下で、業務を再開する準備を進めていた。

最初の対象はシェブロンで、制限付きで事業を再開し、石油の「交換」を可能にするものだという。

トランプ政権はベネズエラで操業している石油会社(シェブロン、伊エニ、スペインのレプソルなど)に対し、ベネズエラでの操業と輸出を5月末までに停止するよう命じた。この命令は予定通り発効した。

米国はシェブロンをはじめとするPDVSAの主要パートナーに対し、事業運営を許可する新たな認可の準備を進めてきた。

シェブロンやレプソルなど、一部の欧州の石油会社はバイデン前政権時代に認可を取得。ベネズエラでの事業拡大と、米国および欧州への石油輸出を行ってきた。

ベネズエラの移民問題や民主主義に対する批判が高まる中、トランプ(Donald Trump)大統領は2月、この認可を取り消すと発表した。5月下旬までに取引を完了するよう各社に指示した。

ベネズエラのマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領は先週、シェブロンを同国に留めるための政治的取り組みを称賛し、同社が事業拡大のための作業部会に関与していると明らかにした。

2019年に米国がエネルギー制裁を初めて科して以来、ベネズエラは政治交渉の一環として、ライセンスの付与と取り消しを繰り返してきた。

OPEC(石油輸出国機構)加盟国であるベネズエラの生産量は近年、日量約100万バレルで安定。輸出の大部分は中国向けである。

トランプ氏はベネズエラ産石油・天然ガスを購入するすべての国に対し、25%の追加関税を課すと警告しているが、今のところ、この追加関税は発動していない。

ベネズエラは世界最大の石油埋蔵量を誇り、かつては南米最大の経済大国であった。しかし、その経済は米政府による制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。

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