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コロンビア政府、野心的な税制改革法案を国会に提出、審議難航も

コロンビアの財政上の問題点は主に高い公的債務、貧困、不平等、そして税収の不足に起因している。
コロンビア、首都ボゴタ(Getty Images)

コロンビア政府は1日、来年度予算の財源確保と悪化する国家財政の立て直しを目的として、2026年までに26兆3000億ペソ(約9.6兆円)の歳入増を目指す税制改革法案を議会に提出した。

この野心的な法案の審議は難航が予想される。

左派のペトロ(Gustavo Petro)大統領が率いる与党議員の一部はこの法案に懸念を示している。

アビラ(German Avila)財務相は記者会見で、「2026年度の財政確保だけでなく、中期的なマクロ経済の安定を保証する提案を構築している」と述べ、「この法案は次期政権にも役立つだろう」と付け加えた。

計画では2027年に28兆2000億ペソを調達し、2030年までに歳入を年間37兆ペソまで増やすことを目指している。

法案では石油製品に対する付加価値税(VAT)の増税や、原油・石炭の初回販売または輸出に対する新たな課税など、幅広い新税の導入が提案されている。

またタバコ、アルコール、オンライン賭博、配当、高所得者と富に対する増税も目指している。

コロンビアの財政上の問題点は主に高い公的債務、貧困、不平等、そして税収の不足に起因している。

まず、公的債務は増加傾向にあり、特に新型コロナウイルスのパンデミック後に財政赤字が拡大した。

政府はその支出を補うために借入れを増やさざるを得なかったため、長期的な債務負担が懸念されている。

また、高い貧困率と格差の問題も問題を複雑にしている。貧困層への支援が財政的に限られ、富の分配の不平等が経済成長を妨げているのだ。

さらに、税制改革が遅れているため、税収が不足し、公共サービスや社会福祉への十分な予算を確保するのが難しくなっている。

加えて、コロンビアは石油や鉱物資源に依存しているため、これらの価格の変動が財政に大きな影響を与えている。資源価格の下落が経済に与える影響を軽減するためには経済の多角化が必要だが、その実現には時間とさらなる投資が求められる。

このような要因が複合的に作用し、コロンビアの財政の健全化の大きな障害となっている。

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