ブラジル各地でボルソナロ前大統領の刑期短縮案に抗議するデモ、数万人参加
これは連邦議会下院がボルソナロ氏らに対する刑を大幅に短縮する可能性のある法案を可決したことへの反発として行われたものである。
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ブラジル各地で14日、ボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領やその支持者らへの刑罰を軽減しようとする議会の動きに反対する大規模な抗議集会が開かれ、数万人が参加した。
これは連邦議会下院がボルソナロ氏らに対する刑を大幅に短縮する可能性のある法案を可決したことへの反発として行われたものである。
ボルソナロ氏はクーデター未遂裁判で27年以上の禁固刑を言い渡され、11月から服役している。判決は政権復帰を目指したクーデター未遂や民主主義の破壊を図ったとして最高裁が下したものであり、同国では歴史的に例のない元指導者への長期刑となった。
今回可決された法案はこれらの刑を2年余りに短縮する可能性があり、下院の保守派によって支持されている。法案は今後上院での審議を経る必要があるが、上院を通過した場合、ルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領による拒否権行使が予想されるものの、議会が拒否権を覆す可能性もあるとされている。
抗議は最大都市サンパウロ、首都ブラジリア、リオデジャネイロなど主要都市で行われた。リオでは約2万人が参加したと報告されている。
参加者たちは「民主主義を守れ」などのスローガンを掲げ、ボルソナロ氏らへの寛大な扱いを批判した。集会に参加した男性はロイター通信の取材に対し、「彼らは自分たちの犯罪に対して責任を負うべきだ」と語った。文化人やアーティストも声を上げた。
ボルソナロ氏の刑期短縮案は23年1月にブラジリアの政府庁舎が暴徒化した支持者によって占拠された事件に関与した者への刑罰も軽減する内容を含んでおり、これに対しても批判が強まっている。この暴動は米連邦議会襲撃を想起させるものであり、ブラジルの民主主義への信頼に大きな打撃を与えた。
抗議デモは左派や市民団体、労働組合、著名な文化人など幅広い層によって組織され、民主主義の基盤を守る意識を共有する場となっている。また、ルラ氏は法案が上院を通過すれば拒否権を行使する意向を示しており、議会が拒否権を覆すかどうかが今後の政治的焦点になる。仮に拒否権が覆されれば、最高裁や憲法裁判所による法的な争いも避けられないと専門家は指摘する。
今回の抗議はブラジルにおける政治的分断の深刻さを改めて浮き彫りにしている。前大統領の刑罰軽減を巡る議論は国内で激しい論争を引き起こしており、来年の大統領選挙を控えた政治情勢にも影響を与える可能性がある。民主主義の根幹をめぐる今回の対立はブラジル社会における法と政治の関係について国民的な議論を促している。
