ブラジル警察、48億ドルの脱税・資金洗浄組織を摘発
この組織は、燃料の生産・精製・流通から販売に至るプロセスを通じ、利益を過少申告または隠蔽していた疑いが持たれている。
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ブラジルで燃料セクターを巡る過去最大級の脱税(約48億ドル)および資金洗浄疑惑に対して、大規模な捜査・摘発が行われた。
連邦警察と関係当局は27日、国が抱える最大の滞納者とされる組織を対象に捜索・差し押さえ令状126件を発動し、5つの州にまたがる企業や個人の資産を押収した。
調査対象は企業グループ、投資ファンド、オフショア構造を使った資金隠しに及ぶ。
この組織は、燃料の生産・精製・流通から販売に至るプロセスを通じ、利益を過少申告または隠蔽していた疑いが持たれている。
関係する企業のひとつとして、地元メディアはGrupo Fit(燃料精製会社)の名を報じているが、同社は報道時点で公式コメントを出していない。
当局によると、このネットワークは国内外にまたがる巧妙な資金の流れを構築していた。国内に設立した子会社・関連企業や複数の投資ファンドに加え、米国のオフショア企業を通じて資金を海外に流出させ、偽装融資や投資と称して再びブラジルに戻す手法が使われていた。
特に、米デラウェア州に設立されたオフショアを経由し、正当な投資と見せかけた資金移動が繰り返されていたという。
この摘発は、国内の燃料供給網と犯罪組織の癒着を断ち切る狙いがある。今回の捜査の背景には、同国内で最大の犯罪組織とされるPCC(首都第一コマンド)が燃料セクターを経由した資金洗浄や利益隠しに関与していた疑いがある。
関係当局は、PCCが過去数年にわたって違法収入の隠蔽や資産運用に燃料セクターとオフショア会社を利用していたとみている。
また、摘発は単一の事件に留まらない。8月には燃料流通会社やガソリンスタンド、関連金融企業などを対象とする大規模な摘発作戦(複数の並行捜査)が実施されており、この種の不正資金スキームの根絶に向けた長期的な取り組みの一環とみられている。
当局は今回の捜査について、「単なる税逃れではなく、組織犯罪と結びついた大規模な金融犯罪への対抗」と位置づけており、今後、関係者の起訴や資産の没収、国内外でのマネーロンダリング防止強化などを進める方針だ。
加えて、米国当局との国際協力を強化し、オフショア企業経由の資金流入・流出の追跡を徹底する構えを示している。
