◎諜報機関ABIN(ブラジル情報庁)の職員2人はボルソナロ前政権の発足から3年間、GPSベースのソフトウェアを使い、対立候補やジャーナリスト、議員の携帯電話を監視していた疑いがある。
ブラジルの警察当局は20日、司法の許可なくスパイ技術を使って携帯電話を追跡した疑いのある諜報機関ABIN(ブラジル情報庁)の職員2人を逮捕したと発表した。
それによると、この2人はボルソナロ前政権の発足から3年間、GPSベースのソフトウェアを使い、対立候補やジャーナリスト、議員の携帯電話を監視していた疑いがあるという。
TVグローボは今年3月、連邦警察内でイスラエルの企業が開発した「FirstMile」というソフトウェアが違法に使用されていると報じていた。
連邦警察は逮捕した職員2人の身元、認否、事件の詳細を明らかにしていない。
TVグローボによると、警察はサンパウロ、サンタカタリナ、パラナ、ゴイアス各州と首都ブラジリアがある連邦管区で25件の捜査令状を取ったという。
TVグローボは警察の声明を引用し、「ABINが使用したGPSベースのソフトウェアは国内の電話網に繰り返し侵入し、それは公的資金で導入された」と伝えている。
それによると、このソフトウェアはテメル(Michel Temer)元大統領が在任中の2016~18年に導入されたという。導入費用は570万レアル(約1億7000万円)。
TVグローボは20日、情報筋の話として、「ABINは3万回以上このソフトウェアを使用し、少なくとも1800人の政治家、ジャーナリスト、弁護士、ボルソナロ政権の反対派を監視・追跡していた」と報じた。
逮捕された職員2人は他人の携帯やコンピューターに侵入した罪、組織犯罪、司法の許可なくあるいは法律で認められていない目的で通信を傍受した罪などに問われる可能性がある。
一部の地元メディアはこのスキャンダルを米国のウォーターゲート事件をもじって、「ボルソナロゲート」と呼んでいる。