SHARE:

ブラジル大統領、BRICSの貿易連携強化呼びかけ、トランプ関税念頭に

BRICS加盟国のブラジルとインドはトランプ米政権の関税措置で最も大きな打撃を受けている国であり、50%もの輸入関税を課されている。
2025年9月7日/ブラジル、首都ブラジリアで開催された独立記念日のパレード、支持者に手を振るルラ大統領(ロイター通信)

ブラジルのルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領は8日、BRICS(新興5カ国)グループ間の貿易・金融統合の深化が保護主義の影響緩和に寄与すると表明した。

ルラ氏は8日に開催されたBRICS首脳によるオンライン会議に出席。大統領府によると、ルラ氏はその中で、「関税による脅迫は市場を脅かし、国内問題に干渉するための手段として常態化しつつある」と述べたが、米国について直接言及することはなかったという。

またルラ氏は「BRICS諸国は不当かつ違法な貿易慣行の犠牲になっている」と強調した。

BRICS加盟国のブラジルとインドはトランプ米政権の関税措置で最も大きな打撃を受けている国であり、50%もの輸入関税を課されている。

インド外務省によると、「モディ(Narendra Modi)首相は会議の中で、「障壁を増やし、取引を複雑化することは、何の助けにもならない。貿易を非貿易問題と結びつけることも同様である」と述べたという。

ルラ氏は先月末、トランプ関税への報復措置について「急ぐ必要はない」と述べ、交渉に前向きであることを改めて強調した。

BRICSはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国で構成される新興経済国の協議体である。

2001年にブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国で形成され、2010年に南アフリカが加わった。

経済成長が著しい国々が連携することで、世界経済や国際金融における発言力を高めることを目的としている。

BRICSは年次首脳会議を開催し、貿易、投資、インフラ整備、エネルギー、技術協力など多方面で協力を進めている。また、開発銀行(NDB)の設立などを通じて、途上国への資金支援やインフラ投資を推進している。

米欧中心の国際秩序に対抗する役割も期待され、政治・経済両面で影響力を拡大している一方、政治体制や経済構造の違いによる利害調整の難しさも課題となっている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします