◎前政権とつながりがあるとみられる組織は情報庁(ABIN)のシステムを使って最高裁判事、下院議長、前サンパウロ州知事などを監視していたとされる。
ブラジル、首都ブラジリア、情報庁(ABIN)の正門ゲート前(Getty Images)

ブラジル連邦警察は11日、ボルソナロ前政権が情報庁(ABIN)のシステムを利用して最高裁判事や連邦議会議員をスパイしていた疑いがあると明らかにした。

それによると、前政権とつながりがあるとみられる組織はABINのシステムを使って最高裁判事、下院議長、前サンパウロ州知事などを監視していたとされる。

警察はこの疑惑に関与したとみられる5人の逮捕状を請求した。

TVグローボは捜査当局が最高裁に提出した資料・書簡を引用し、「連邦警察の現職警察官、陸軍兵士、SNSインフルエンサー、国内に拠点を置く著名な実業家、首都ブラジリアの市民社会グループの代表がこの事件関与している」と伝えている。

それによると、5人はABINのシステムに不正アクセスし、判事らを監視。その情報などを基に「フェイクニュース」を作成・流布したとされる。

捜査当局は5人が「犯罪組織」に所属していたとみているが、その詳細は明らかにしておらず、ボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領が関与しているかどうかも不明である。

また捜査当局は「この犯罪組織はABINを悪用してコンピューター、電話、通信インフラに違法にアクセスし、公務員などを監視していた」と述べた。

TVグローボによると、警察の書簡の中にボルソナロ氏の名前は5回出てくるが、同氏がスパイ行為を命じたり、関与したとは書かれていない。

ボルソナロ氏の報道官はこの案件に関するコメントを出していない。

捜査当局は書簡の中で、「犯罪者たちはボルソナロ氏の家族が関与する捜査に関係する人物を監視するために、ABINを組織的に悪用していた」と述べている。

ボルソナロ氏は現在、在任中に横領や資金洗浄(マネーロンダリング)などに関与したとして起訴され、複数の裁判を抱えている。

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