国連FAO、ブラジルで鳥インフル国際会議開催へ
ブラジルでは5月中旬、国内の養鶏場で初めて鳥インフルが検出された。
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国連食糧農業機関(FAO)は5日、今年5月に国内の養鶏場で初の鳥インフルエンザ発生を報告したブラジルを、来週開催される鳥インフルに関する国際会議の開催地に選定した。
FAOはブラジルの強固な生物安全対策プロトコルを称賛。「ブラジルは他国と共有すべきことが多々ある」と述べた。
またFAOは情報共有、能力構築、優良事例の紹介を含むブラジルの地域的リーダーシップを通じて、各国のシステム強化が可能であるとした。
ブラジルでは5月中旬、国内の養鶏場で初めて鳥インフルが検出された。
これを受け、中国、メキシコ、EUなど、数十カ国がブラジル産鶏肉の輸入を一時停止した。
ブラジルは世界最大の鶏肉輸出国である。
鳥インフルは主に野鳥が持ち込むものであり、そのフンや唾液に触れた家禽が感染し、広がる。
ヒトへの感染は稀。感染したニワトリなどを扱う際には徹底した防疫対策が求められる。
H5N1型は近年、牛、犬、猫、アシカ、ホッキョクグマに至るまで、多くの動物から検出されるようになった。ヒトからヒトへの感染は報告されていない。H5N1、H5N2、H5N6、H5N8などの型が世界各地で流行している。
国際獣疫事務局(WOAH)は6月中旬、ブラジル国内における鳥インフルの感染が収束したと認定した。
FAOはブラジルや他の家禽生産国における鳥インフルの壊滅的な影響を緩和するために、「官民双方の継続的な投資に支えられた統合的な対応が必要」としている。
またFAOは「この危機に単独で立ち向かえる国やセクターは存在しない」と強調した。
ブラジルは世界約150カ国に鶏肉を輸出している。6月にブラジルが鳥インフルを制御した後、一部の国は制限を緩和したが、最大の買い手である中国は購入を再開していない。
これまでのところ、ブラジルは商業用家禽における鳥インフルの大規模な発生を回避している。これは欧州や米国の農場で壊滅的な被害をもたらした事例とは対照的だ。
FAOは鳥インフルの拡大防止と国際的な連携強化を目的として、各国政府、国際機関、専門家らを集めた国際会議を定期的に開催している。
会議では感染状況の最新情報、監視体制、ワクチンの開発・使用、家禽産業への影響、野鳥との関係などが議論される。
また、各国の対応策や教訓を共有し、技術支援や資金援助の協力体制も検討される。
FAOは世界的な食料安全保障の観点から、動物由来感染症(ゾーノーシス)の封じ込めを重視しており、世界保健機関(WHO)やWOAHなどと連携し、ワンヘルス(One Health)アプローチの推進も行っている。