ブラジル財務相「経済成長なくして財政健全化は不可能」
近年のブラジル経済は回復と停滞を繰り返す不安定な状況が続いている。
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ブラジルのハダド(Fernando Haddad)財務相は29日、経済成長の必要性にも対処しなければ、同国の財政を健全化することは不可能だと表明した。
ハダド氏は最大都市サンパウロのイベントで講演。「財政調整の議論では慎重さが重要だ」と指摘した。
コロナ禍を除く過去10年間のブラジルの公共支出はGDP比平均約19.5%。現在は19%を下回っている。
ハダド氏はこの減少について、「ルラ政権が非必須支出を削減した結果であり、医療や教育への支出削減によるものではない」と強調した。
またハダド氏は米国が多くのブラジル製品に課している50%関税について、「いずれ米国との合理的な議論が始まると信じたい」と述べた。
近年のブラジル経済は回復と停滞を繰り返す不安定な状況が続いている。2010年代前半の景気後退と政治不信の影響を受け、成長率は長らく低迷していたが、近年は農業・鉱業を中心に一部回復の兆しも見られる。特に大豆や鉄鉱石などの輸出が中国などへの需要に支えられ、貿易黒字を維持している。
一方で、インフレ率の上昇や金利の引き上げ、失業率の高さが国内経済の成長を抑制している。新興国としては経済規模が大きく潜在力も高いが、構造的な問題として税制の複雑さ、インフラ整備の遅れ、政治の不安定さが依然として課題である。政府は財政改革や民営化を進めているが、社会的不平等や治安の問題も経済成長の足かせとなっている。