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ブラジル25年8月コーヒー輸出、米国向け減少も他地域で急増

25年8月の米国向け輸出量は前年同月比で46%減少した一方、中南米向けが急増したという。
ブラジル産コーヒー豆(Getty Images)

ブラジルコーヒー輸出業者協議会(Cecafe)が9日、先月のコーヒー輸出量データを公表した。

それによると、25年8月の米国向け輸出量は前年同月比で46%減少した一方、中南米向けが急増したという。

第三国経由でのブラジル産コーヒー豆を米国に出荷すれば50%関税を回避できる。

ドイツ向け輸出は減少したものの、ブラジル産コーヒーの最大輸入国となり60キロ袋41万4109袋を輸入。メキシコは前年同月比90%増の25万1166袋、コロンビアは578%増の11万2948袋に達した。

ブラジルは世界最大のコーヒー生産国兼輸出国、米国に次ぐ第2位の消費国である。

世界で最も多くコーヒーを消費している米国の消費量の約3分の1はブラジル産。50%のトランプ関税がこの価格を押し上げると予想されている。

Cecafeによると、米国のブラジル産コーヒーの輸入量は前年同月の56万2723袋から 30万1099袋に減少した。

Cecafeは声明で、「トランプ関税は市場を混乱させ、投機的な動きのきっかけとなった」と述べた。

ブラジルは世界最大のコーヒー生産国であり、同時に最大の輸出国である。米国はブラジル産コーヒー豆の主要な輸入先の一つであり、アラビカ種を中心に大量に調達している。

米国がブラジル産コーヒーに関税を課した結果、米国内でのコーヒー価格は確実に上昇し、消費者やコーヒー産業に打撃を与えることになる。

トランプ政権はコーヒーのように米国内で生産基盤が脆弱な商品に直接的な関税をかけることには慎重であった。そのため、コーヒー豆に即時的な関税は導入されなかった。

しかし、トランプ関税は最終的にブラジル産コーヒーにも及んだ。米中貿易戦争の激化により、中国が米国農産物の輸入を抑制した結果、米国農家の余剰生産物が世界市場に流れ込み、農産物全体の価格競争が激化した。

この影響でブラジル産コーヒーも国際相場の下落圧力を受けた。また、トランプ政権の保護主義的な姿勢は為替市場に不安をもたらし、ドル高を招いた。ドル高はブラジル通貨レアルの下落を引き起こし、輸出業者にとっては短期的に有利となったものの、長期的には収益の不安定化を生んだ。

さらに、関税政策による国際物流や貿易摩擦の激化は、米国市場に依存するブラジルのコーヒー輸出業者にとってリスク要因となった。

米国以外の市場、多様な輸出先の開拓が必要性を増し、欧州やアジア諸国への販売強化が図られる動きにつながった。

Cecafeェなど輸出団体もこの状況を背景にブラジルコーヒーのブランド力強化や品質向上を戦略的に推進した。

トランプ関税そのものがブラジル産コーヒー豆に直接的な打撃を与えたわけではないが、世界貿易構造の不安定化、価格変動の激化、為替リスクの拡大といった間接的影響を通じて大きな圧力を与えたと言える。

その結果、ブラジルのコーヒー産業は国際市場への依存度の見直しや、多角的な輸出戦略の必要性を痛感するに至った。

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