ブラジル中央銀行、トランプ関税の影響に警戒感、政策金利据え置きへ

中銀は先月末の金融政策決定会合で金利を据え置いた。
ブラジル、首都ブラジリアの中央銀行本店(Bloomberg)

ブラジル中央銀行は5日、トランプ関税の引き上げがもたらす影響に警戒感を示し、長期にわたって政策金利を据え置く方針を表明したうえで、インフレ期待の低下を目指す方針を再確認した。

中銀は先月末の金融政策決定会合で金利を据え置いた。

これは7回連続の利上げを経て、市場の予想通り積極的な引き締めサイクルを一時停止したものであり、トランプ関税が政策当局者の警戒感を高めていることを示している。

中銀は24年9月から引き締めを開始。7月までに政策金利を4.50%引き上げて15.00%に設定した。

中銀は5日に公表した議事録の中で、「米国がブラジルからの輸入品に課す50%の関税が重大な影響を特定のセクターに及ぼす可能性がある」と指摘した。

また中銀は「広範なマクロ経済的影響は不確実であり、交渉の進展と市場のリスク認識に依存する」と説明した。

さらに「実体経済と金融市場への潜在的な影響を注意深く監視している」と強調。不確実性が高まるシナリオ下で中銀の慎重な姿勢を再確認した。

中銀は市場のインフレ期待が公式の目標を上回っている点にも言及。長期的な見通しに大きな変化はないものの、金融資産から導き出されるインフレ指標は低下していると指摘した。

ガリポロ(Gabriel Galipolo)総裁は先月末の声明で、利上げサイクルを一時停止し、未確定の累積的影響を検証し、その後、現在の金利水準を長期にわたって維持した場合、物価目標への収束を確保するのに十分かどうかを評価すると述べていた。

25年7月前半の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で5.30%増、6月は5.27%であった。中銀のインフレ目標値は3%±1.5ポイントである。

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