ブラジル中央銀行、政策金利15%据え置きへ=ロイター調査
ブラジルのインフレ率は国際商品市況と通貨の動向に大きく左右されやすい構造を持つ。
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ブラジル中央銀行が9月17日の金融政策決定会合で政策金利を維持する見通しだ。
ロイター通信は12日、エコノミスト41人のデータを更新。全員が金利を据え置くと予想した。
中銀は24年9月から引き締めを開始。7月までに政策金利を4.50%引き上げて15.00%に設定し、7月30日の金融政策決定会合で金利を据え置いた。
市場も中銀が2会合連続で金利を据え置くと予想している。
中銀はインフレ率が目標値を上回る中、慎重な戦略を維持すると予想される。これは最近まで中銀がよりハト派的な姿勢に転じていると予想していた一部のアナリストを困惑させるものだった。
ロイターが9月8~12日に実施した調査では、回答した41人のエコノミスト全員が金利を15%に据え置くと予測している。
25年8月のインフレ率は5.10%増。2月の5.06%以来の低水準ではあるが、それでも中銀の目標値である3%±1.5ポイントを上回っている。
ブラジルの近年のインフレ率は国内外の要因が複雑に絡み合いながら大きく変動してきた。2020年の新型コロナウイルス感染拡大により、サプライチェーンの混乱や国内経済の停滞が起きたが、この時期は需要低迷によって物価上昇は抑えられていた。しかし2021年に入ると、世界的な経済回復に伴う一次産品価格の高騰や、ブラジル特有の通貨レアルの下落、さらには国内の干ばつによる電力・食料価格の上昇が重なり、インフレ率は急速に上昇した。2021年末にはインフレ率が10%を超え、政府や中央銀行にとって大きな課題となった。
2022年はウクライナ戦争の影響でエネルギーや食料の国際価格がさらに押し上げられ、ブラジルでもガソリンや穀物価格の上昇が顕著になった。とりわけブラジルは輸送にトラック輸送を大きく依存しており、燃料高騰が物価全体を押し上げる構造的要因として働いた。その結果、2022年前半には年率12%を超えるインフレを記録し、国民生活に大きな打撃を与えた。これに対処するため、中銀は2021年から段階的に利上げを実施し、政策金利は一時13%を超える水準に達した。高金利政策は景気の減速リスクを伴うが、インフレ抑制には一定の効果を示し、2022年後半には上昇幅がやや落ち着いた。
2023年に入ると、国際商品市況の安定化や通貨レアルの持ち直し、政府による燃料税減免などが奏功し、インフレ率は徐々に低下した。2023年末には5%前後まで落ち着きを見せ、中銀は利下げの可能性を探り始めた。ただし、サービス分野の価格上昇や食料価格の変動リスクは残り、完全な安定には至っていない。2024年もインフレ率は中銀の目標レンジに近い水準で推移したが、財政政策の不透明さや国際的な原材料価格の変動が潜在的リスクとなっている。
ブラジルのインフレ率は国際商品市況と通貨の動向に大きく左右されやすい構造を持つ。中銀の積極的な金融政策が一定の成果を上げてはいるものの、農業依存の高さや輸送コストの脆弱性など、経済の構造的要因がインフレの根強さを支えている状況にある。