ブラジル中銀が政策金利据え置き、2会合連続、長期据え置きを示唆
中銀は24年9月から金融引き締めを開始。7月までに政策金利を4.50%引き上げて15.00%に設定し、7月30日の金融政策決定会合で金利を据え置いた。
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ブラジル中央銀行が17日、市場の予想通り、政策金利を据え置いた。
金利の据え置きは2会合連続。消費者物価指数(CPI)が高止まりする中、長期にわたり据え置きを続ける姿勢を示した形だ。
中銀は24年9月から金融引き締めを開始。7月までに政策金利を4.50%引き上げて15.00%に設定し、7月30日の金融政策決定会合で金利を据え置いた。
中銀は17日の会合で、「利上げサイクルの中断を一時停止する」という文言を削除した。
一部の政策当局者はさらなる利上げの可能性も示唆している。
金融政策委員会は政策金利を15%に据え置くことを全会一致で決定した。ロイター通信のアナリストも全会一致と予想していた。
ガリポロ(Gabriel Galipolo)総裁は声明で「委員会は警戒を怠らず、現在の金利水準を非常に長期にわたり維持することが、インフレ目標への収束を確実にするのに十分かどうかを評価し続ける」と述べた。
またガリポロ氏は必要に応じて利上げを再開することを躊躇しないとの姿勢を強調した。
25年8月のインフレ率は5.10%増。2月の5.06%以来の低水準ではあるが、それでも中銀の目標値である3%±1.5ポイントを上回っている。
ブラジルの過去数年間のインフレ率は国内経済の不安定さや外部要因の影響を大きく受けて推移してきた。2020年には新型コロナウイルスの流行に伴い景気が急激に落ち込み、当初は需要減退によってインフレ率は抑制されていた。しかしその後、通貨レアルの下落、国際商品価格の上昇、そして供給網の混乱が重なり、2021年以降に急激な物価上昇が顕在化した。特に食料品や燃料価格の高騰が家計を直撃し、インフレ率は二桁台に迫る水準に達した時期もあった。
2022年にはロシアのウクライナ侵攻による国際エネルギー価格の高騰や肥料供給の不安定化が加わり、ブラジル経済に追加的なインフレ圧力がかかった。ただし同年後半からは中銀による急速な利上げ政策が効果を見せ始め、インフレ率は徐々に低下へと向かった。中銀は政策金利を二桁台にまで引き上げる強硬な金融引き締めを行い、結果的に2022年末には物価上昇の勢いをある程度抑制することに成功した。
2023年には前年までの急激な利上げの効果に加え、国際商品価格の落ち着きもあり、インフレ率は大幅に減速した。ただし、依然として食料やサービス分野での価格上昇が続き、完全に安定したとは言えない状況だった。また、財政政策や政府補助金のあり方をめぐる不確実性が市場心理を揺さぶり、通貨レアルの変動を通じてインフレ期待に影響を与える局面も見られた。
2024年に入ると、インフレ率はおおむね中銀の目標範囲内に収まる水準まで落ち着いた。とはいえ、ブラジル経済は構造的にインフレ圧力を抱えており、公共財政の赤字拡大や輸入依存度の高いエネルギー・食料品市場がリスク要因となっている。加えて、政権の経済運営への信頼度や国際的な資本流入の動向も物価に大きく影響を及ぼす。
ブラジルの過去数年間のインフレ率は、外部ショックと国内政策の相互作用の中で大きく変動してきた。中銀の金融政策は短期的には効果を示したが、長期的な安定のためには財政健全化や生産性向上といった構造的課題への取り組みが欠かせない。