▽独メルセデス・ベンツはブラジル・サンパウロに工場を開設したが、2020年に閉鎖。貿易障壁がもたらした教訓を苦労して学んだ。
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ブラジルが10年以上前に自動車市場の貿易障壁を強化したとき、当時の政府は現地生産の拡大、信頼できる雇用、より良い自動車を国民に約束した。
しかし、多くの自動車メーカーが工場を開設しては閉鎖し、最終的には雇用を減らし、生産台数も減少した。
ブラジル人は現在、同じ車種を購入する際、他の南米諸国と比較して50%も高い金額を支払うのが日常茶飯事となり、技術面でも世界に遅れをとっている。
米国の自動車産業がトランプ政権による関税引き上げに直面する中、かつて世界第4位の自動車市場であり、現在は保護主義の危険性を示すケーススタディとなっているブラジルの苦い経験に注目が集まっている。
独メルセデス・ベンツはブラジル・サンパウロに工場を開設したが、2020年に閉鎖。貿易障壁がもたらした教訓を苦労して学んだ。
メルセデス・ベンツのある幹部はSNSに、「ブラジルは保護主義的な政策の影響を評価する良い例だと思う」と投稿。関税によって引き起こされる「非効率性」に警告を発した。「保護された市場は遅れをとりがちだ」
2011年のブラジル経済は好調で通貨も堅調だったため、外国車の輸入急増は自動車労組とつながりの深い与党を怯えさせた。
当時のルセフ政権はさまざまな外国車に対して30%の輸入関税を課し、地元車を優遇。業界に人員削減の凍結を要求した。
この結果、輸入は減少、現地生産は一時的に増加し、過去最高の371万台を記録した。ブラジルに新工場を建設するかの選択を迫られたメルセデス・ベンツを含むいくつかの自動車メーカーが現地に組立ラインを開設した。
しかし、多くの企業がブラジルで効率的なサプライチェーンを構築するのに苦労し、さらにインフレが進み、経済が冷え込むと、内需は急落。この時、海外の市場に輸出を増やすのに十分な競争力を持つ企業はほとんどなかった。