◎ブラジルは世界有数の食糧生産国兼、カリの最大の輸入国であり、農作物栽培の過程で多くの肥料を使っている。
2022年3月9日/ブラジル、首都ブラジリアで開催された環境保護集会(Getty Images/AFP通信)

ブラジルのジャイール・ボルソナロ大統領はロシア・ウクライナ戦争の影響で農作物の栽培に欠かせない肥料が不足すると懸念を表明し、先住民族の土地の開発を強く推進している。

下院議長は9日、土地開発に関する法案は十分は支持を集めており、まもなく可決されるという見通しを示した。

ブラジルは世界有数の食糧生産国兼、カリの最大の輸入国であり、農作物栽培の過程で多くの肥料を使っている。ブラジルが輸入している肥料の約4分の1はロシア産である。

ボルソナロ大統領は7日に放送されたラジオインタビューの中で、「ウクライナとロシアの危機は、我々にとって良い機会だ」と述べた。「我々は先住民族の土地を採掘できるようにする法律を準備しています。これが施行されれば、ブラジルは自分たちで肥料を作り、さらに多くの鉱物資源を得られるようになるでしょう...」

ボルソナロ大統領はアマゾンの環境保護予算や先住民保護機関であるフナイの予算を削減する一方、雇用創出と貧困対策のために、アマゾンでの採掘と商業的農業を増やす取り組みを進めてきた。

アマゾンの熱帯雨林は大量のカリを埋蔵しているが、主要な採掘プロジェクトは先住民族の土地を保護する法律や人権団体の反対で何年も滞っている。

ボルソナロ大統領は2018年の大統領選挙中からアマゾンの採掘を公言し、熱帯雨林の膨大な鉱物資源を発掘すると約束してきた。

先月、ボルソナロ大統領はアマゾンの熱帯雨林のおける金の試掘を推進する2つの政令を発効した。

しかし、環境保護団体、権利団体、地質学者、そして連邦検察官がウクライナ危機に乗じて土地開発を進めようとするボルソナロ大統領の姿勢に懸念を表明している。

政府は憲法で保護されている先住民族の土地でのカリ鉱山、石油探査、水力発電ダム開発を認める法案を急いで成立させようとしている。

ブラジリア大学の地質学者であるテオドロ教授はソーシャルメディアに、「たとえ鉱物資源が憲法で保護されている先住民の土地の下にないとしても、その他の地域で採掘を行えば、社会的・環境的影響はアマゾン全体に波及するだろう」と投稿している。

先住民族の事件を扱うアマゾナス州の検察庁は法案を「違憲」と呼び、アマゾンの一部の先住民族を消滅させる可能性があると警告している。

しかし、政界に強い影響力を持つ農業団体は法案を支持している。AP通信によると、法案は早ければ9日中に下院を通過する可能性があるという。

一方、ミナス・ジェライス大学の研究によると、アマゾンのカリ埋蔵量は全国で確認されている埋蔵量の3分の1に過ぎず、先住民族の土地周辺の埋蔵量はわずか11%であることがわかった。

この研究結果は来週公表される予定。ボルソナロ大統領はウクライナ危機が世界規模の肥料不足を引き起こす可能性が高いため、先住民族の土地を開発してカリを確保しなければならないと主張しているが、ミナス・ジェライス大学はこの主張を「虚偽」と呼び、徹底抗戦すると述べている。

2021年12月12日/ブラジル、首都ブラジリアの大統領宮殿前、ジャイール・ボルソナロ大統領(Eraldo Peres/AP通信)
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