ブラジル大豆産業がアマゾン地域での土地利用モラトリアムから離脱
このモラトリアムは過去20年にわたり、大手大豆取引企業がアマゾンで新たに森林伐採された土地で生産された大豆を購入しないことを約束する自主的な取り組みであり、同地域の森林減少の抑制に一定の成果を上げてきた。
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ブラジル最大の大豆業界がアマゾン森林の土地利用に関する長年のモラトリアム(大豆買い付け制限協定)から離脱する意向を表明し、森林破壊が再び加速する可能性が高まっている。 このモラトリアムは過去20年にわたり、大手大豆取引企業がアマゾンで新たに森林伐採された土地で生産された大豆を購入しないことを約束する自主的な取り組みであり、同地域の森林減少の抑制に一定の成果を上げてきた。
ブラジル野菜油工業協会(ABIOVE)は先週、この「大豆モラトリアム」への参加を終了すると発表した。ABIOVEにはカーギルやバンジ、アンマジ、JBSなど世界的な大豆トレーダーが加盟しており、これまで同協定の中心的役割を担ってきた。業界関係者と環境保護団体は、今回の撤退が事実上モラトリアムの終焉を意味すると指摘している。
モラトリアムは2006年に環境団体や国際的な買い手からの圧力を受けて導入され、ブラジル政府も後に支持した自主的な協定だった。協定では、2008年7月以降に森林が伐採されたアマゾン地域の土地で栽培された大豆を買わないことが定められ、違反が発覚した農場からの大豆は取引停止の対象とされた。 その結果、モラトリアムの対象地域での森林破壊は2009年から2022年までの間に約69%減少したとの分析結果もある。
今回の撤退の背景には、最大の大豆生産州であるマトグロソ州でモラトリアムへの参加企業に付与されていた税制優遇措置が2026年1月1日付で廃止されたことがある。州内の大豆生産者協会の会長は、この税優遇が年間約40億レアル(約1175億円)に上ると指摘し、優遇がなくなれば業界として協定を継続するインセンティブが失われると述べた。
ABIOVEは声明で、モラトリアムは20年にわたり「否定し得ない遺産」を残したとして一定の評価を示したものの、今後は各社が個別に持続可能性の基準を満たす努力を続けるとともに、政府による新たな規制枠組みの整備に依存する形になると述べた。
しかし環境保護団体や専門家は、モラトリアムの弱体化がアマゾンでの森林破壊を助長する恐れがあると警鐘を鳴らしている。マトグロソ州を拠点とする監視団体は、モラトリアムの終了は残る自然植生の直接的な転換や農業フロンティアの拡大、土地投機などを通じて森林破壊を促進しかねないと指摘した。グリーンピースも、協定終了がアマゾンでの無秩序な大豆拡大を引き起こし、森林伐採と温室効果ガス排出の増加につながる可能性があると警告した。さらに、専門家の研究では、モラトリアムが終了すれば2045年までにアマゾンの森林破壊が最大30%増加するとの試算も示された。
一方でブラジル環境省の担当者は、この試算の前提に疑問を示しつつ、違法に伐採された土地での大豆買い付けは引き続き禁止され、違反すれば罰則が適用されると述べているものの、モラトリアムという統合的な枠組みがなくなることは全体の森林減少抑制努力を弱める可能性があるとの見方もある。
ブラジルは世界最大の大豆生産国であり、世界の大豆生産量の約40%を占める。今回の動きは、同国の環境保全政策や国際的な環境目標、そして地球規模の気候変動対策にも影響を及ぼす可能性があるとして、国内外で注目されている。
