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ブラジル25年11月大豆輸出64%増、記録的水準に

2025年11月の大豆輸出量は前年同月比64%増の420万トンに達した。
ブラジルの大豆畑(ロイター通信)

ブラジルの大豆輸出量が急増している。

ブラジル全国穀物輸出業者協会(Anec)が4日に公表したデータによると、2025年11月の大豆輸出量は前年同月比64%増の420万トンに達した。

この顕著な伸びは大豆の豊作によるものである。今年の収穫高は過去最高水準であり、新たな収穫期を迎える来年1〜2月まで十分な在庫があるため、例年なら年末に落ち込む輸出量を維持できたという。

この増加は世界最大の大豆輸入国である中国が年末から米国産大豆への切り替えを予定していることを見越した動きでもある。Anecによると、中国はすでに米国から複数の船積み大豆を購入しており、12月にも積み込みが始まる見通しだ。

Anecはさらに、12月の輸出量も大幅に伸び、約90%増の280万トンに達すると予想しており、25年通年の大豆輸出量は1億1000万トンに達する見通し。2024年は9730万トンであった。

一方でトウモロコシ(コーン)輸出には慎重な見通しが示されている。国内での飼料需要やバイオ燃料需要が高まっていることから、2025年のコーン輸出見通しは従来予想より100万トン下方修正され、4100万トンとなった。

それでも2024年の3780万トンを上回る見込みであり、12月単月では前年比で約38%増の499万トンに達すると予測されている。

背景には、ブラジルの大豆生産能力の急拡大と、対米関係を踏まえた中国の調達先の多様化という構造的な要因がある。今年、ブラジルは過去最高となる記録的大豆収穫を達成し、国際市場に大量に供給できる体制が整った。

また、中国はこれまで米国から大量に大豆を輸入していたが、米中間の貿易摩擦や関税問題を背景に、ブラジル産への依存を強めており、2025年に入ってからはブラジルが中国の主要な大豆供給源となっている。

こうした国際需給の変化と生産過剰を背景に、ブラジルは2025年、かつてない規模で大豆を世界に供給することになった。一方で、コーンについては国内需要の高まりが輸出のけん引力を抑える要因となっており、今後も輸出動向に注目が集まりそうだ。

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