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ブラジル、マネーロンダリング調査で米国に協力要請へ

一連の調査は税務当局と警察が合同で進めてきたもので、主な焦点は燃料大手レフィッチ(Refit)とされる。
ブラジル、リオデジャネイロ州(Getty Images)

ブラジルのハダド(Fernando Haddad)財務相は27日、精油・燃料セクターにおける大規模なマネーロンダリング(資金洗浄)疑惑を受け、米国に協力を求める方針を明らかにした。

連邦警察と関係当局は27日、国が抱える最大の滞納者とされる組織を対象に捜索・差し押さえ令状126件を発動し、5つの州にまたがる企業や個人の資産を押収した。

調査対象は企業グループ、投資ファンド、オフショア構造を使った資金隠しに及ぶ。

当局によると、このネットワークは国内外にまたがる巧妙な資金の流れを構築していた。国内に設立した子会社・関連企業や複数の投資ファンドに加え、米国のオフショア企業を通じて資金を海外に流出させ、偽装融資や投資と称して再びブラジルに戻す手法が使われていた。

特に、米デラウェア州に設立されたオフショアを経由し、正当な投資と見せかけた資金移動が繰り返されていたという。

一連の調査は税務当局と警察が合同で進めてきたもので、主な焦点は燃料大手レフィッチ(Refit)とされる。

関係当局によると、レフィッチは過去一年間におよそ720億レアル相当の資金を、国内外の企業、投資ファンド、オフショア法人を通じて移動させ、利益を隠蔽していた疑いがあるという。

これまでの捜査で15を超える米国籍または米国拠点のオフショア会社が特定され、その一部は米国内で税金を回避できるというデルウェア州の法人制度を利用していた可能性が指摘されている。

ハダド氏はこうした仕組みを「米国のタックスヘイブン制度を悪用した国際的三角取引スキーム」と断じた。

さらに、ブラジル政府はこの問題を単なる税務・金融犯罪としてではなく、広く組織犯罪、麻薬密輸、違法武器輸入といった治安・国家安全保障の観点からも捉えており、米国側に対して金融データの共有や違法武器の輸出防止に関する協力を要求する可能性を示している。

ブラジル国内では、今回の摘発対象となっているグループが、過去に国内外に多額の税債務を抱えていた最悪クラスの納税滞納者であると当局は説明しており、今回の捜査がその規模感と性質の深刻さを浮き彫りにした形だ。

ハダド氏ははブラジルと米国間で現在進行中の貿易交渉、特に最近米国がブラジル産商品の対米関税を一部引き下げた動きを受けた広範な協議の枠組みに、このマネーロンダリング問題と違法武器輸入対策を含めるよう提案する意向を示した。両国間の関係改善の流れを背景に、金融犯罪対策での協力を新たな議題に据える構えだ。

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