SHARE:

ブラジル大統領、植民地主義の再来を非難「主権侵害許さない」


ルラ政権は近年、米国や欧州との距離を保ちながら、中国やアフリカ諸国との関係強化を進めるなど、多極化する国際社会での独自外交を模索している。
ブラジルのルラ大統領(左)とトランプ米大統領(Getty Images)

ブラジルのルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領領は21日、コロンビアの首都ボゴタで開かれたラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)首脳会議で演説し、旧植民地地域に対する大国の「干渉」が再び強まっていると批判した。名指しは避けたものの、発言は米国の対外政策を念頭に置いたものとみられる。

ルラ氏は「他国を自分の所有物のように扱うことは許されない」と述べ、キューバやベネズエラへの対応を例に挙げて疑問を呈した。そのうえで、こうした動きは過去の植民地主義の再来に等しいとし、主権侵害に当たるとの認識を示した。

演説では、米国が関与したベネズエラの政変や対キューバ政策にも言及した。特に、ベネズエラの前大統領者を巡る対応や燃料輸出をめぐる封鎖措置について、「民主的と言えるのか」と批判し、地域への影響の大きさを強調した。

さらにルラ氏は、2月末に始まった米イスラエルによるイランへの軍事攻撃にも触れ、過去のイラク戦争と類似していると指摘。大量破壊兵器を理由とした軍事介入の正当性に疑問を呈し、国際社会が同じ過ちを繰り返していると警鐘を鳴らした。

また、国際秩序のあり方にも踏み込み、国連安全保障理事会がパレスチナ・ガザ地区やウクライナ、イランなどの紛争解決に十分機能していないと批判。現在の国際機関は特定の大国の影響力が強すぎるとし、より公平で多極的な体制への改革が必要だと訴えた。

今回の会議には中南米諸国に加え、アフリカ諸国の代表も参加し、「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国の連携強化が議題となった。ルラ氏はこれらの国々が資源や市場を巡って再び外部勢力の支配を受ける危険性があると指摘し、結束の重要性を強調した。

コロンビアのペトロ(Gustavo Petro)大統領も同調し、国際社会の不平等や大国主導の政策を批判した。会議全体として、気候変動や貧困といった共通課題への対応とともに、主権尊重や多国間主義の再構築を求める声が目立った。

ルラ政権は近年、米国や欧州との距離を保ちながら、中国やアフリカ諸国との関係強化を進めるなど、多極化する国際社会での独自外交を模索している。今回の発言もその延長線上に位置づけられ、従来の国際秩序への不満と、グローバルサウスの発言力拡大を目指す姿勢を鮮明にした形だ。

中南米地域では近年、外国の軍事・経済的関与を巡る議論が再燃しており、今回のルラ氏の発言はこうした流れを象徴するものといえる。大国と新興国の関係をどう再定義するかが、今後の国際政治の重要な焦点となりそうだ。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします